2017 Fiscal Year Research-status Report
台湾・中国におけるLGBTの権利保護法制整備への道―――日本との対比から
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17K18544
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
鈴木 賢 明治大学, 法学部, 専任教授 (80226505)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | 台湾法 / 同性婚 / 婚姻平等化 / 大法官 / 憲法解釈 / LGBT / マイノリティ / 婚姻の自由 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は台湾において婚姻の平等化に急激な進展みられたため、研究の重点を台湾における婚姻平等化の進展においた。 2016年12月には立法院に3つの婚姻平等化実現のための民法改正草案が上程され、委員会での審議の結果、ふたつの案に整理された。その後も世論は二分し、立法作業が停滞していた、矢先に司法院大法官が同性間に婚姻を認めていない現行民法につき、台北市および同性婚を求めていた当事者、祁家偉氏からの違憲審査請求に応じて、憲法解釈を示すことを決定した。2017年3月に申請者、学術経験者を招聘して、口頭弁論を公開で開催した。その2ヶ月後の5月24日には同性間に婚姻を認めない民法を違憲と判断し、2年以内に立法機関に改正を命じ、改正されない場合には現行法にもとづき同性間の婚姻を受け付けるとした。 こうして台湾はアジアで初の同性婚容認国となることが確定した。しかし、その後、立法作業は進まず、反対派の運動もより激しくなるなか、膠着状態が続いている。キリスト教勢力を中心とする保守派の抵抗が強く、法案採択の見込みはたっていない。推進派、反対派両派の主張と運動について情報を収集し、一部についてはシンポジウム、講演会、論文のかたちで公表した。 同性家族の法制化をめぐるモデル論を提起した。すなわち、Negativeモデル、Admissionモデル、Invisibleモデルの3類型である。欧米はNegativeモデルからAdmissionモデルへ転換したが、当事者の存在が不可視化されてきた日本や台湾ではモデルチェンジがより困難であることを明らかにした。そのなかで台湾が日本に先行してモデルチェンジを果たそうとしていることを指摘した。 2019年5月の同性婚の開始まで1年と迫っているなか、どのような法形式でそれが実現するか引き続き観察を続け、日本法への示唆を探っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
台湾において実態が急展開しているため、台湾にフォーカスしている。訪台調査、招聘による研究会などにより順調に進展している。中国については訴訟が提起されるなど、若干の新展開があり、研究者の関心も高まり、成果も生まれている。これらについてのフォローを続けており、こちらも概ね順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
台湾では2018年11月に同性間の婚姻を民法によるのか、特別立法によるのかをめぐって国民投票が実施される見込みが強まっている。その結果しだいでは政府は民法改正を断念して、民法とは別途、同性婚姻法ないし同性パートナーシップ法と制定する可能性もある。いずれにしても、2019年5月24日からは同性間の婚姻受付がはじまる。混乱を引き起こすことなく、受付が始められるのか、大いに注目される。また、国民投票へ向けて、賛成、反対旅両派の議論、運動についても関心をもって観察する。同性婚が始まる頃を目指して台湾における婚姻平等化のプロセスに関する小著を準備する予定である。
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Research Products
(14 results)