2020 Fiscal Year Annual Research Report
Road to LGBT rights protection legislation in Taiwan and China --- from comparison with Japan
Project/Area Number |
17K18544
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
鈴木 賢 明治大学, 法学部, 専任教授 (80226505)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2021-03-31
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Keywords | 台湾法 / 同性婚 / 婚姻平等 / LGBTQ / 同志 / 多元的家族 / 性的指向 / 大法官 |
Outline of Annual Research Achievements |
台湾では2017年5月24日に大法官会議による憲法解釈が示され、同性間に婚姻を成立させない民法の規定が違憲(婚姻の自由22条、平等権7条)とされ、2年以内の法改正が立法機関に命ぜられた。これにもとづき2019年5月、同性婚法が制定され、同月24日から同性間の婚姻の登録が受け付けられるようになった。これにより台湾はアジアでは初めて同性婚を法制化した国となった。 本研究は台湾がなぜアジアで最初の同性婚承認国となったのかについて、同性愛者の位置づけ、同性婚運動史、立法や司法を通じた働きかけ、同性婚反対派の運動や言説、2018年11月の国民投票、大法官第748号解釈の詳細な検討、制定された同性婚法の内容と問題点、残された課題、法律施行前後の世論動向、同性婚登録の統計的動向、同性婚をめぐる政治などにつき検討を加えた。 結論として台湾がアジアで初めての同性婚実現を果たしたのは、以下のような要因が作用していたことを解明した。 ①ジェンダー平等運動がLGBTQの権利獲得運動に先行し、男女平等が相当程度、達成されていたことが、「性別」平等という概念を生み出し、性指向や性自認による差別解消問題を政治の世界に引き出すことに成功した。②性別平等教育、性別勤労平等法など、性指向、性自認などによる差別を禁止する法律が早い時期に制定され、学校教育でもLGBTQについての教育が進められたことで、若年層の意識変革が図られた。③総統および政権党が同性婚への支持を表明し、多数派を形成し、大法官の人事を決することができた。④大法官が違憲判断を果敢に行って社会を変革し、民主主義、自由、人権を擁護するという伝統が築かれていた。⑤定期的な政権交代が生じ、同性婚問題が政治的なテーマとして議論されていた。⑥台湾が国際社会で生存するためには、自由や人権の尊重が重要な要素となることを多くの国民が自覚していた。
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Research Products
(11 results)