2017 Fiscal Year Research-status Report
Parliament Architecture as Political Space
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17K18546
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 信 東京大学, 先端科学技術研究センター, 助教 (70761419)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | 議事堂 / 政治史 / 建築史 / 都市史 / デモ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、政治史を中心に、建築史・都市史を統合した学際的アプローチを採用し、議会政治の中核をなす議事堂、すなわち議場及び関連する政党・議員控室、事務局を含む政治空間の、意匠や配室を介した政治の動態との連関の様態を、他の議事堂との比較を通じて解明するものである。 平成29年度(平成29年7月~平成30年3月)は、第一に、研究体制の構築を行い、第二に、文献と海外調査によって議事堂研究の現在地を把握することに務めた。 とりわけオーストラリア海外調査においては、議事堂建設の当事者、上院の黒仗官、下院の守衛官を含む、延べ10人にインタビューを行った。オーストラリア議事堂は、行政府と立法府との「共存」が特殊であることが研究の焦点となっており、その実態を調査することが当初の目的であった。ところが、「共存」の特殊性に加えて、前議事堂以来、二大政党制を前提とした空間の設えが行われ、それに従って運用が行われていたこと、また、政党控室以上に議員控室が影響力を持っており、その割り当て方法が上下院で異なること、しかもそれらが上下院の役割観念に根ざしていることなど新たな知見が多く得られた。配室の重要性を示すこれらの知見は、国会議事堂竣工後の運用期についても分析しようとする本研究において極めて重要である。 第三に、国会議事堂成立期、とりわけ大蔵省主管期について分析を進めた。なかでも、議院建築準備委員会(1910年設立)の議事録と比較して分析されてこなかった議院建築調査会(1917年設立)の議事録を分析し、その「事務所的建築」の出自について検討した。 第四に、議事堂を超えて、不可避に結びつく政治と空間を表象する概念として「政治=空間」を設定し、スウェーデンにおいてその報告を行った。また、その副産物として首相別荘についての論考を発表したほか、広く「公議」のあり方について理論的検討を行い、学会報告なども行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度の当初研究計画は、研究体制を構築するとともに、特に研究の国際的動向をフォローする点に注意して史料収集を開始することであった。下記の通り、作業順序の組み換えは行ったものの、当初の目標達成には支障なく順調に進展している。 本研究課題が主として対象としている国会議事堂の成立過程分析において、明治・大正期の雑誌記事の収集は極めて重要である。ところが、これらを多く独占的に所蔵する東京大学大学院法学政治学研究科附属明治新聞雑誌文庫が平成30年度以降の耐震改修工事を予定したために、当初の予定を大きく変更して文献調査を優先的に行わざるをえなかった(ただし、結果的に耐震改修工事は平成31年度に行われることになった)。このため、予定していたフィールド調査の一部は本年度中に実施できなかった。 他方、スウェーデン王立科学大学から招聘されて建築学部でレクチャーとワークショップを行う機会に恵まれ、議事堂と政治過程についても知見を得ることができた。予定外ではあったものの、多様な議事堂との比較を可能にする貴重な機会となった。来年度以降、フィールド調査を集中的に行う作業順序の組み換えを行うことで、当初研究計画に従って研究を遂行する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
フィールド調査を集中的に行うなど、平成29年度の作業順序の組み換えに対応しながら、基本的には当初研究計画に則って研究を遂行する。 さらに、挑戦的研究であることに鑑み、平成29年度の海外調査によってその重要性が判明した議事堂内の配室の変遷については、当初研究計画を超えて史料収集を行いたい。
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Causes of Carryover |
予定外にスウェーデンから科研費外で招聘されたこと、また前記「現在までの達成度」の「理由」に記載の事情により、作業順序の組み換えが必要となり、フィールド調査が延期されたため。 次年度に延期したフィールド調査に使用する予定である。
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