2018 Fiscal Year Research-status Report
Establishing RCT Methodology in the Environment and Energy Policy Research
Project/Area Number |
17K18547
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
野村 久子 九州大学, 農学研究院, 講師 (60597277)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 綾 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 准教授 (20537138)
横尾 英史 国立研究開発法人国立環境研究所, 資源循環・廃棄物研究センター, 主任研究員 (80583327)
久保 雄広 国立研究開発法人国立環境研究所, 生物・生態系環境研究センター, 研究員 (80761064)
|
Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
|
Keywords | RCT / フィールド実験 / 環境評価 / 倫理 / イビデンスに基づく政策立案 / 政策評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究の2年目は、各自のフィールドにおけるRCTによる環境・エネルギー政策評価の実践を行った。 具体的には、RCT研究の課題について経済学的観点から、アンケートあるいは既往文献等を元に整理を行った。また、研究者ごとに各々の研究トピックを対象に実際に環境政策をRCTで行うための検討を行なった。具体的には、研究代表者と分担者がお互いに手法や課題などについてアドバイスを行う形で協力を行った。 メンバー共同で行うRCTの実践事例としてみやま市の生ごみ分別の促進策をRCTで評価することを当初計画していたが、8月から導入予定であった分別制度が10月に開始となり、全域での制度施行が2月からとなった。本事業では、フィールドにおけるRCT実験事例を行うにあたり研究チームで現場の行政と連携することが必須であるため、2年目に予定していたフィールド実験を3年目に行うことにした。そのため、みやま市の行政と相談し、今年度はベースラインデータを取ることとし、RCTは次年度に行うこととした。なお、ベースラインデータは、戸別訪問し、生ゴミ分別の参加の有無や社会経済的データに関する調査を行った。 現状の手法の課題や応用の際の利点・欠点などを日本語で論文としてまとめたこと、また研究会を開いて実践のRCT手法の応用を学び、研究会を通じてネットワークづくりに貢献したこと、そしてさらなる発展のためそれぞれの分野においてRCTの検討を行なったことにより今後の国内でのランダム化比較試験を用いた環境・エネルギー政策研究の発展にある一定の寄与が出来たといえる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の2年目は、各自のフィールドにおけるRCTによる環境・エネルギー政策評価の実践を行う予定であった。当初計画していたみやま市の生ごみ分別の促進策をRCT評価を2年目に予定していたところ制度の導入時期などの兼ね合いからフィールド実験を3年目に行うことにした。そのため、RCTによるフィールド実験は、これから行う計画である。一方で、RCTは実験対象地の状況に応じて対処することが大事であり、最終的には実験研究の精度を高めることになる。よって、今年度継続して研究を行う。研究を進めるにあたり行政との協力体制については何ら問題ない。 その他、横尾は1年目に発表を行ったRCTを用いたフィールド実験を行うことの倫理的問題を検討した。成果は、独立行政法人経済産業研究所のRIETI Discussion Paper Series に日本語論文としてまとめた。また、鈴木は、国外の開発分野の文献レビューを行い、実験系論文が受けてきた批判への対処が行われているか、改善された点と未解決の課題について整理し、論文を執筆した。本論文は2019年6月に『農業経済研究』に掲載予定である。 久保は自然保護区におけるレクリエーション分野のRCTフィールド実験をレビューするとともに、我が国の国立公園における入域料徴収に関する社会実験の内容について検討を行った。そして、野村はRCT手法を用いることの利点と欠点をまとめ、最後に農林分野への応用の可能性を示唆した論文をまとめた。以上、研究目的として挙げていた研究手法の確立と国内研究を推し進める布石となる研究成果を一定以上挙げており、国内の環境政策研究のコミュニティに広く知らしめることが出来た。これらのプロセスを通じて、日本におけるエビデンスに基づく環境・エネルギー政策形成に貢献できていると考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
昨年12月にはみやま市の全区長会議(議長:市長)で戸別訪問の依頼を行い、2月から3月にかけて戸別訪問を終え、全地区からランダム抽出したおよそ1000世帯分のデータをとった。現在、4月からデータ入力を行っており、5月末までに入力を終える予定である。6月から7月にかけて分析を行い、集計結果を出す予定にしている。その結果に基づいて、実験を行うかどうか検討し、可能と判断されれば、仮定や介入の検討、ならびに評価を行う。 予定としては、介入と介入後の戸別訪問による世帯データを来年の1月から3月にかけて行う計画である。
|
Causes of Carryover |
本事業では、フィールドにおけるRCT実験事例を行うにあたり研究チームで現場の行政と連携することが必須であるが、研究対象である制度施行が3か月ほど先送りになったため、2年目に予定していたフィールド実験を3年目に行うことにした。そのため、みやま市の行政と相談し、今年度はベースラインデータを取ることとし、RCTは次年度に行うこととした。 全地区からランダム抽出したおよそ1000世帯分の調査票について4月からデータ入力を行っており、5月末までに入力を終える予定である。6月から7月にかけて分析を行い、集計結果を出す予定にしている。パネルデータについては、すでにデータを行政から取得しており、生ごみ分別によるごみ排出量の抑制効果分析を行っている。また、その結果に基づいて、実験を行うかどうか検討し、可能と判断されれば、仮定や介入の検討をして、評価を行う。
|