2018 Fiscal Year Research-status Report
企業間ネットワークを介した高度熟練技能継承と生産性に関する実証分析
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17K18552
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
中島 賢太郎 一橋大学, 大学院経営管理研究科, 准教授 (60507698)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 寛康 兵庫県立大学, シミュレーション学研究科, 准教授 (60418499)
中嶋 亮 慶應義塾大学, 経済学部(三田), 教授 (70431658)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | 技能伝承 / 知識伝播 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は引き続き、高度熟練技能者の技能が企業生産性にもたらす影響を分析するために必要となるデータの作成を行った。特に、本研究において最重要の情報である、高度熟練技能者の退職情報についての収集を以下の通り行った。 まず、一部都道府県においては、ある大規模公開情報によって、企業労働者の退職と強く相関する個人情報を得ることができることが判明した。この大規模公開情報について一部は独自データベース化し、また、入手可能な範囲での既存データベースの入手を行い、公開個人情報の網羅的収集を行った。この公開情報データベースと、前年度までに取得した卓越した技能者の名簿情報を接続することで、高度熟練技能者の退職関連情報について一部のマッチを行うことができた。 しかし、これだけの情報では十分な統計的分析を行うことが困難であるため、さらに高度熟練技能者情報のプールを拡大するため、同時に各地方自治体が独自に行っている高度熟練技能者の表彰制度について調査し、また、それぞれの自治体にコンタクトを取ることで、一部自治体において表彰者情報の収集を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
個人情報であり、かつ網羅的に把握されていない情報であるため、最も入手が困難であり、かつ本研究において最も重要な情報となる、高度熟練技能者の退職情報について一定の範囲で収集することができ、また、一部の高度熟練技能者情報とのマッチを達成することができた。さらに、高度熟練技能者情報そのもののプールを拡大すべく、各自治体から独自に情報を収集しており、着実に研究に必要となるデータベース構築が進んでいる。以上の点より、本研究は順調に進展していると評価できると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、前年度までに構築された高度熟練技能者の退職関連情報についての小規模データベースのクリーニングを行う。またそれを用いて、企業における高度熟練技能の喪失が生産性に与える影響についての実証分析を行うことを予定している。その作業と並行して、自治体から独自収集したデータベースのクリーニングを行い、既存の小規模データベースと接続し、さらに精度の高い実証分析を行う。 上記の追加的データベースの接続を行った上でも十分なデータが取得できていない可能性も存在する。そのため、並行して、自治体へのコンタクトを取る作業を進め、独自表彰制度による高度熟練技能表彰者情報、および退職者情報についての収集を継続する。
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Causes of Carryover |
当初、大規模なデータベースが構築される予定であり、そのクリーニング費用を見積もっていたが、今年度接続されたデータベースは小規模なもので、予定されていた費用がかからなかったため、次年度使用額が生じた。追加的にデータベースを拡大することを予定しており、データベース拡大のため自治体へのコンタクト費用、および拡大されたデータベースのクリーニング費用として翌年度分として請求した助成金と合わせて使用する。
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