2021 Fiscal Year Research-status Report
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17K18554
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
堤 盛人 筑波大学, システム情報系, 教授 (70292886)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 崇紘 国立研究開発法人国立環境研究所, 地球環境研究センター, 特別研究員 (60826767)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2023-03-31
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Keywords | 組成データ / CoDA / 社会経済データ |
Outline of Annual Research Achievements |
組成データ解析(Compositional Data Analysis:CoDA)の社会経済データへの応用を主眼に、既存の統計分析手法を俯瞰・体系化し、その新たな展開の可能性を探ることを目的として研究実施計画に基づき以下の内容を実施した。 (1)時系列相関と定数和制約を考慮するため、関数データ解析とCoDAを組み合わせたクラスタリング手法を構築した。構築した手法を米国の大統領選挙データに適用し、地域性の抽出を行った。その成果を国際会議XV World Conference of the Spatial Econometrics Associationで発表した。 (2)地域における特定の産業の相対的集積度を測る指標である特化係数(Location Quotient:LQ)の改良に着手した。LQは特定の産業における全国と地域の従業者比率の比で計算されるため、CoDAの知見を応用する余地がある。検討した指標を日本の産業分類データに適用し、全国平均との相対的集積度に加え、地域内の相対的集積度を反映できることを確認した。 (3)(i)空間計量経済学的手法の援用:多方程式間の誤差相関を考慮したモデルに組成データ解析の知見を導入し、空間的自己相関と空間的相互相関を明示的に組み入れた組成空間回帰モデルの整理を行った。(ii)計量地理学的手法の援用:空間的異質性を考慮した空間回帰モデルとして組成データのための地理的加重回帰モデルを定式化した。推定に当たっては、(i)空間的自己相関と空間的相互相関を考慮した空間回帰モデルを検討する中で得られていた誤差相関の対処も取り入れた。定数和制約を伴った形で得られる推定値、予測値の解釈上の有用性について米国の所得階級データを用いて示すことができた。その成果を国際会議Geocomputation 2021で発表することとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
空間計量経済学の考え方に基づいて空間依存性(相関)と空間異質性を考慮した新たな方法論に関し、これまでの成果の取り纏めにおいて若干の後戻りが生じたが、一方で、組成データ解析と地理的加重回帰モデルを組わせたモデルの開発に成功しており、全体としては概ね当初からの計画通りに進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度に向けて取り纏めを行う。
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Causes of Carryover |
年度開始時には、最終年度の予定であったが、新型コロナウイルス感染症の拡大による研究計画変更等に伴い補助事業期間延長申請し認められた。新型コロナウイルス感染症が終息しないことを前提とした研究成果の取り纏めを実施する。
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