2017 Fiscal Year Research-status Report
「教育経済学」の新たなフロンティアを目指して-国際貿易理論によるアプローチ-
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17K18555
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Research Institution | Reitaku University |
Principal Investigator |
永田 雅啓 麗澤大学, 経済学部, 特任教授 (50261871)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀江 未来 立命館大学, 国際教育推進機構, 教授 (70377761)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | グローバル・ランキング / 教育経済学 / 国際経済学 / 高等教育 / サービス貿易 / 留学 / 実証分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
高等教育の国際化現象の分析は、これまで主として教育学者によって行われ、経済学的な枠組みでの理論的・実証的な分析はほとんど行われてこなかった。本研究では、「国際経済学」の枠組みで高等教育の国際化の問題を捉え直し、その実証的な解明を試みる。それを通じて「教育経済学」の新たなフロンティアを開拓することを目的とする。また、この10年ほどでグローバル・ランキングが世界の高等教育に与える社会的な影響は飛躍的に高まっており、各国の高等教育行政にも大きな影響を与えるようになってきている。本研究によって得られる成果は、こうした問題にも科学的な検証を加え、政策面での資料としても資するものである。 本研究では、「国際経済学」の枠組みで高等教育の国際化の問題を捉え直し、その実証的な解明を試みる。本年度は予備的な実証分析として、アメリカへ留学する国別学生数を被説明変数とする回帰分析を行った。アメリカへ留学する学生は、アメリカのサービス輸出と考えられるため、一般の輸出関数と同様に輸出相手国の実質GDPとアメリカと当該国との相対価格を説明変数として分析を行った。期間はUNESCOからのデータが得られる1999~2015年、相手国は、日本、中国、タイ、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、イギリス、オーストラリア、ブラジルの10ヵ国である。分析結果は、ブラジルでは符号条件も仮説に沿うもので自由度調整済みのR2も高かったが、他の国、特に日本を含む先進国からの留学生に関しては、符号条件も満たしていない場合が多く、グローバル・ランキングの要素を含めるなど説明変数の選択等で高等教育独自の要素を含める必要性が明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Ellen Hazelkorn教授ならびにUlrich Teichler教授(EUのエラスムス計画の主唱者の一人としても著名)等に渡欧して面会し、研究計画を進める上での有益なコメントを得た。また、予備的な実証分析として、アメリカの留学生受け入れにつき、サービス輸出関数として推計した。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、実証分析を行うが、グローバル・ランキングの経済的影響の定量分析のテーマにも重点をシフトすると同時に、分析結果の評価を行う。年度後半では、海外出張もしくは海外の研究協力者を招聘して国際セミナーを開催し、その結果を基に、さらに分析を深める。
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Causes of Carryover |
海外の研究者を招聘する予定だったが、本年度の決定が7月で時間的な余裕がなく、こちらの都合に合うような先方のアポイントメントをとれなかったため次年度使用額が生じた。本年度は、海外の研究者を招聘しての国際セミナーの開催ないしは、海外調査を実施する予定。
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