2017 Fiscal Year Research-status Report
The Effects of Time Difference on International Transactions
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17K18557
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
福田 慎一 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 教授 (00221531)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | 資産価格 / 貨幣理論 / 時差 / 金融取引 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、1日の各時間帯で取引がどのように行われ、それがどのような経済効果(ときには市場の混乱)をもたらすのかに関する新しい理論的フレームワークを構築すると同時に、実際の資産価格が時間帯ごとにいかに形成されているかに関する実証分析を行い、その政策的含意を考察することにある。3年間のプロジェクトの1年目にあたる昨年度は、その目的を実現するため、まず伝統的な貨幣理論を基礎とした理論的なフレームワークの構築を行うと同時に、その理論分析結果を踏まえて行う高頻度の金融データを使った実証分析の研究準備を行った。 理論分析では、従来の貨幣理論を大幅に修正・拡張し、経済主体ごとに取引を行う時間帯が異なる場合、金融取引がいかに形成され、それが資源配分にどう影響するのかが分析された。一方、実証研究のパートでは、金融データの加工・分析、金融取引を行う上ではさまざまな制度的な制約の検討を行ったのと同時に、理論分析の結果を踏まえて、高頻度の金融データを使って、時間ごとの資産価格形成メカニズムを分析する準備をおこなった。また、海外の研究者協力者から研究全体に対するアドバイスを適宜もらい、研究の改善につなげた。 近年では、地域間の移動コストは大幅に減少し、各国の経済統合度はかつてないほど高まっている。とりわけ、金融取引では、世界各地の金融市場がオンラインで結ばれ、高速取引の普及によって世界各地の金融取引を昼夜を問わず一瞬のうちに行えるようになっている。本研究は、地域間で時差が存在するという物理的な現象が経済活動に与えるメカニズムを解明し、探索的性質の強い芽生え期の研究として成果を着実に上げているといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼすべて計画通り進んでおり、3年目までにはしっかしとした研究成果を出すことができる見通しである。
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Strategy for Future Research Activity |
1年目の基礎研究をもとに、2年目と3年目は、最終的な研究論文の完成に向けて、地域間で時差が存在することが国際金融市場の取引のあり方にどのような影響を与えるのかを理論的・実証的に分析し、その金融危機への効果や政策的な含意を考察する予定である。研究組織は、大きく分けて、2つの柱をそれぞれ研究する2つのグループと、それを国際金融・地域研究の観点から全体総括する第3のグループから構成する。ただし、グループ横断型の議論を行うことで、理論的フレームワークを実証可能なものに展開し、その政策的含意を分析することを心掛ける。また、3年目には全体の総括的な意味も含めて、3名の海外の研究者協力者を交えた国際シンポジュームを開催し、研究成果のレビューを受ける予定である。
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Causes of Carryover |
海外の研究協力者の都合で、打ち合わせの日程がずれたことで、旅費が次年度使用となった。また、データベースの使用料も、データ作成のタイミングがずれたため、次年度使用となった。今年度は、これらの分も含めて、予定通り使用する予定である。
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Research Products
(7 results)