2022 Fiscal Year Annual Research Report
The Effects of Time Difference on International Transactions
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17K18557
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
福田 慎一 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 教授 (00221531)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2023-03-31
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Keywords | 時差 / 高頻度データ / 資産価格 / 貨幣のサーチ理論 / 金融政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、1 日の各時間帯で取引がどのように行われ、それがどのような経済効果(ときには市場の混乱)をもたらすのかに関する新しい理論的フレームワークを構築すると同時に、実際の資産価格が時間帯ごとにいかに形成されているかに関する実証分析を行い、その政策的含意を考察することにある。研究は、伝統的な貨幣理論を基礎とした理論的なフレームワークの構築と、その理論分析の結果を踏まえて行う高頻度の金融データを使った実証分析が研究の2つの大きな柱となった。いずれの研究も、研究代表者を研究全体の核として、関連分野を専門とする若手研究者や実務家に研究協力者として加わってもらい実施した。理論的な分析では、従来の貨幣のサーチ理論(とくに、Lagos and Wrightのモデル)を大幅に修正・拡張し、国際金融の分野に応用することで、経済主体ごとに取引を行う時間帯が異なる場合に、金融取引がどのようにして形成され、それが資源配分にいかなる影響をもたらすのかを理論的に分析した。高頻度の金融データを使った分析では、日本の高頻度株価データを用いて、日本銀行の金融政策(とくに、ETFの購入)が時間ごとの資産価格形成にどのような影響を与えたかに関するメカニズムを時系列分析の手法を使って実証的に分析した。特にコロナ危機時を分析の対象期間とすることで、時差の存在と危機の関連やその政策的な含意を考察した。いずれの研究成果も、コロナ禍で予定していた海外の研究協力者からのレビューが延期されたことで完成が遅れたが、期間延長後の最終年度には予定通りレビューを受け、それをもとに改定したバージョンをディスカッション・ペーパーとしてまとめて公表した。
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Research Products
(7 results)