2017 Fiscal Year Research-status Report
A challenge of building a new scale for financial literacy suitable for an aging society
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17K18563
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
家森 信善 神戸大学, 経済経営研究所, 教授 (80220515)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳原 光芳 名古屋大学, 経済学研究科, 教授 (80298504)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | 金融リテラシー / 金融知識 / 高齢社会 / ウェブ調査 / アンケート調査 / 高齢者 / 金融経済教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
金融リテラシー研究においては、金融リテラシーを正しく計測することが議論の前提であり、金融リテラシーの尺度については、すでに国際的に確立した尺度として、Lusardi and Mitchell (AER 2008)の3つの質問(金利計算、インフレの影響、分散投資に関する質問)が知られている。しかし、申請者は、これは国際比較としては有益であるが、日本の家計の直面する金融問題に対処する上ではもっと適切な尺度があり得るのではないかとの問題意識を持ってきた。そこで、本研究では、高齢化を迎えた日本社会にふさわしい金融リテラシーの標準的な尺度を構築することを目指している。 平成29年度においては、これまでの研究プロジェクトで得たデータを使って尺度の妥当性の検討をした論文を完成させるとともに、2018年2月に回答者を3000人とするウェブ調査を実施した。これまでの調査で「わからない」との回答者が多く、その取り扱いが結果に大きく影響していることから、スクリーニング調査で「わからない」と回答しやすい者を排除するような質問の立て方をするなどの工夫を行った。金融リテラシーについては主観的な自己評価を尋ねた後、Lusardi and Mitchell (2008)の3つの質問に加えて、様々な客観質問を行ってみた。具体的には、①リバースモーゲージ、などの用語について、知っているかどうかを尋ねるタイプの10問の質問、「①固定利子率で預金している人にとって、インフレ率は高ければ高いほど望ましい。」といった文の正誤を尋ねるタイプの15問の質問、「①65歳以上の高齢者が特定疾病により介護状態になった場合にのみ、介護保険のサービスが利用できる。」といった、より高度な内容を記述した文の正誤を尋ねるタイプの10問の質問、を行った。年度末までに一次的な分析を終え、H30年度の前半には結果を公表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は、家森信善(2017)「学校教育における金融経済教育の現状と課題」『証券アナリストジャーナル』、家森信善・上山仁恵(2018)「生活者の金融トラブルと金融経済教育-2016年・金融リテラシーと金融トラブルに関する調査をもとに-」 『大銀協フォーラム研究助成論文集』、家森信善・上山仁恵(2018)「生活者の金融リテラシーと金融トラブル-2016年・金融リテラシーと金融トラブルに関する調査をもとに-」『生活経済学研究』、家森信善・上山仁恵(2018)「学校での金融経済教育の経験が金融リテラシーや金融行動に与える影響-2016年・金融リテラシーと金融トラブルに関する調査をもとに-」『ファイナンシャル・プランニング研究』、Hamada, Kaneko and Yanagihara (2017) Oligopolistic competition in the banking market and economic growth, Economic Modellingといった論文を公表できた。とくに、2つの和文論文が、『生活経済学研究』と『ファイナンシャル・プランニング研究』という、生活経済学会および日本FP学会の査読付き学会誌に、また1本の英語論文が国際的な一流雑誌Economic Modellingに採択されたことは特筆できる。 さらに、平成30年度に分析を行うためのアンケート調査を予定通り年度内に実施できたことから上記のような進捗の判断を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、平成29年度に実施したアンケート調査の結果を分析し、研究論文の形で公表する。さらに、本プロジェクトとしての2つ目の調査を実施する予定である。
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Causes of Carryover |
本プロジェクトでは3つのアンケート調査を実施する予定としており、初年度の調査の規模をやや抑えた。次年度使用額は2年目の実施のアンケート調査の費用の一部に充てる予定である。
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Research Products
(4 results)