2017 Fiscal Year Research-status Report
人口減少下の公共財供給に関する研究:空間政治経済学によるアプローチ
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17K18565
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
竹内 憲司 神戸大学, 経済学研究科, 教授 (40299962)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
Weese Eric 神戸大学, 経済学研究科, 准教授 (50777844)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | 環境経済学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、廃棄物処理に関する近年の経済学研究を幅広くサーベイするとともに、最終処分場の立地に関するデータの整理をおこなった。具体的には、日本における民間の産業廃棄物最終処分場の立地に焦点をあて、その長期的な傾向を把握するための実態調査データを用いて、調査結果から構築した都道府県レベルのパネルデータに基づく計量経済分析をおこなった。実態調査の結果、1997年と1998年にかけておこなわれた廃棄物処理法の改正以降に、新規立地される最終処分場の数が大きく減少したことが明らかになった。また計量経済分析の結果から、産業廃棄物税を導入している自治体や、域外産業廃棄物の搬入規制を実施している自治体ほど、最終処分場の新規立地件数が少ないことが明らかになった。さらに1992年と2012年のクロスセクションデータに関して空間的相関を考慮した分析を用いて調べたところ、最終処分場が特定の地域に集中して立地していることや、最終処分場の数は大きく減ってきているが、その立地決定要因はほぼ変わっていないことなどが分かった。これらの結果から、NIMBY(not in my backyard)施設として受け止められることの多い廃棄物最終処分場の問題は、経済的コストを重視した運営に任せることでさらに悪化する可能性があること、複数の自治体間による広域的な連携・協力をおこなった政策的調整によって解決する必要性が高いことが示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
一般廃棄物処理施設のデータ整理を行う前段階としての分析デザインに時間がかかっており、データ整理にまだ取りかかれていない。
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Strategy for Future Research Activity |
産業廃棄物処分場のデータを用いた分析がある程度目処が立ったため、引き続き一般廃棄物処理施設のデータを用いた分析を計画通り実行する予定である。
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Causes of Carryover |
データ整理を行うための分析デザインに時間がかかっており、予定していたデータ整理を行えなかったため。データ整理を次年度に集中して行うとともに、前処理を徹底することで使用予定を効率化する計画である。
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