2018 Fiscal Year Annual Research Report
A Combined Approach of Area Study and Structural Estimation on Market Competition Quality Evaluation: Case of Competitive Neutrality of SOEs in China
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17K18567
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
渡邉 真理子 学習院大学, 経済学部, 教授 (10466063)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | 構造推定 / 地域研究 / 競争中立性 / 企業戦略の計量的推定 / 競争の質の推定 |
Outline of Annual Research Achievements |
地域研究の分野の問題設定を、構造推定と呼ばれる経済理論をもとに分析を行い、計量的な検証を行う。これが本研究の目標であった。具体的な成果は、次のとおり。(a)鉄鋼産業における競争中立性の分析のほか、(b)ベトナムとインドネシアの二輪車市場における企業の競争戦略の計量的分析、(c)中国の携帯電話市場における企業の競争戦略の計量的分析。(d)おなじく半導体生産ブランドの競争戦略の推定など行った。 研究手法上、次の進歩があった。企業の行動を、経済理論をもとに特定し、そのパラメータを推定することが構造推定である。(1)理論モデルの構築にあたって、企業の直面する制約を、地域研究的な文献やインタビュー調査により事実確認をなるべく行い、よりリアルなものとする。また、理論モデルの前に、(2)データの動きを散布図やより簡便な因果推定により変数の間の関係を確認する。企業行動の推定にあたって、需要と供給の推定がカギとなるが、(3)需要推定については、差別化された市場において、それまで困難だった財の属性のパラメータの推定は、統計的なモデルの修正、望ましい操作変数作成によって可能になり、正確な需要推定を行った。(4)上記の望ましい操作変数は、企業の競争環境が完全競争的なのか、ある程度のマージンを推定できるのかの識別も可能になった。よりリアルな構造推定が可能になった。この(3)と(4)を含めた推定結果は、まずデータの条件のよい(b)の成果として論文をまとめた。(a)については、(2)の検証で、まずDPとして成果を公表し、通商白書2018にも引用された。さらにより価格とコストを含む詳細なデータベースが完成し、(3)から(4)の推定作業が進めている。 こうした分析をもとに、政府の政策および企業の戦略の論点に対して回答となる分析結果を公表した。地域研究に構造推定の手法を取り入れることの効果は大きい。
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