2017 Fiscal Year Research-status Report
地場企業家ベースのBOPビジネス新戦略:ダイナミック・モデルと産学連携の新機軸
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17K18574
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
小井川 広志 関西大学, 商学部, 教授 (50247615)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | BOPビジネス / 企業家精神 / エスノグラフィック・マーケティング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究プロジェクトは、平成29年7月上旬に入ってから採択通知を受けた。そのため、研究計画のすみやかなる遂行が特別に急がれた。当初の研究計画に盛り込まれていた先行研究サーベイや理論モデル構築作業の優先順位を下げ、まずはBOP層の生活実態を把握すべく、9月中旬に約2週間の日程で中国甘粛省景泰県において、BOP農村の現地調査を敢行した。これには、大学院生の賈心宇氏の助力を得ながら、蘭州理工大学の協力を得ている。 これまでのBOPビジネス研究は、実際にBOPビジネスを行っている民間企業を対象に聞き取り調査を行い、そこから何らかのインプリケーションを得るというトップダウン型のアプローチが主であった。これに対して、本研究プロジェクトは別のアプローチを採用した。すなわち、民間企業を窓口にせず、農村におけるBOP農民からの聞き取り調査を出発点に、そこからどのようなBOPビジネスの構築が可能かを構想するボトムアップ型の手法を取り入れた。理論的研究の成果としては、これまでのBOPビジネスのパターンをOUT-IN型、IN-OUT型、AUTONOMOUS型の3つのタイプに類型化し、それぞれのBOP層に与えるインパクトの願意を理論的に整理した。 甘粛省農村調査からは、①農業機械、②トイレ、③学習教材、④クコの実輸出ビジネス、などの構想が浮かび上がった。これを効果的に産学連携に結びつけていくのが、次年度以降の課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究プロジェクトの最初の段階で、BOP農村調査を実際に敢行できたのは予想外に有益であった。BOP層の日常生活の過酷な現実と、その中に芽生えるビジネスチャンスの可能性の把握は、机上の文献研究をいくら続けていてもその糸口を見つけ出すことはできなかったであろう。これは、今後の本研究プロジェクトの方向性と妥当性を規定する上でも、決定的かつ有用な初期条件になったと思われる。 現地調査の際に、蘭州理工大学の協力による強力な人的ネットワークを構築できた点も、予想外の収穫であった。これをどのように活用していけるかが、今後の課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究プロジェクトはおおむね順調に遂行されているが、さらなる発展のためには以下のような方向性が求められると考えている。第一に、調査対象の拡大である。中国の一地域で得られた知見、およびここで有用となったBOPビジネス研究のアプローチを、他の地域においても適用させることが可能であるか否かを検証することは、本プロジェクトの一般性を大きく高めるであろう。第二は、地場企業家精神へのフォーカスである。研究初年度の現地調査では、この点に十分な注意が払われなかった。未解明な点を洗い出していきたい。第三は、産学連携の模索である。この目的のため、民間企業へのコンタクトを開始したところである。
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Research Products
(3 results)