Creating a New BOP Business Strategy based on the Local Entrepreneurial Dynamics

2020 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 17K18574
• Research Institution: Kansai University
• Principal Investigator: 小井川 広志 関西大学, 商学部, 教授 (50247615)
• Project Period (FY): 2017-06-30 – 2021-03-31
• Keywords: BOP / 企業家精神 / エスノグラフィック・マーケティング / ビジネスモデル / SDGs

Outline of Annual Research Achievements

本研究プロジェクトは、途上国BOP層(Base of the Pyramid層、途上国の中でも低所得層を指す）の生活実態を把握すると共に、BOP層の潜在的ニーズを掘り起こし、それに対するビジネス展開の構築を目指すものである。本研究プロジェクトは、2017年度から2019年度にわたる３年間を研究期間としていたが、最終年度の2019年度は研究代表者の一年間の在外研究にぶつかり、実質的な進展は見られず、帰国後はコロナ禍に見舞われ現地調査に赴くことができず、本来の研究計画を完遂できずに終了している。
そのため、初年度に敢行した中国甘粛省景泰県での現地調査が、結果的に本研究活動の重要な知見となった。中国寒村における貧困層の生活状況から、現地で受容されると思われるBOPビジネス・プランの具体的作成に着手した。BOPビジネスに関する先行事例などを参照しながら、４つのBOPビジネス・プランを構想するに到った。すなわち、(1)ドライシャンプー、(2)洗濯スプレー、(3)歯磨き粉不要セラミック歯ブラシ、(4) 磁気ボードノート、の４点である。これらについては、BOPビジネスとしての可能性、BOP層のニーズ、進出候補地の投資環境、期待される利益などを詳細に検討した上で、ビジネス提案書を作成し、各製品を製造する国内中堅企業10社（合計40社）に送付してBOPプロジェクト参加への打診を行った。その結果、数社から前向きなフィードバックを得た。このように、産学連携の新しい展開を構築することに部分的に成功している。現地調査でこれを試す実装実験の段階にまでこぎ着けたのだが、コロナ禍の継続によりその実現を見ぬままプロジェクトの最終年度を終えた。これに平行して、本プロジェクトで遂行してきたBOPビジネス・プランは、SDGs/BOPビジネスプランとして、より広範な社会的要請の中で位置づける努力が行われた。