2019 Fiscal Year Research-status Report
責任ある研究・イノベーションの実現に向けた日本の研究者と疾患当事者の関係構築
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17K18581
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
東島 仁 山口大学, 国際総合科学部, 准教授 (80579326)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和田濱 裕之 京都大学, iPS細胞研究所, 特定研究員 (00765513)
丸 祐一 鳥取大学, 地域学部, 准教授 (10466708)
井上 悠輔 東京大学, 医科学研究所, 准教授 (30378658)
三成 寿作 京都大学, iPS細胞研究所, 特定准教授 (60635332)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2021-03-31
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Keywords | 責任ある研究・イノベーション / 患者・市民参画 / 対話 / コミュニケーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、科学技術と社会の良好で持続可能な関係を目指す「責任ある研究・イノベーション」の観点から、日本の疾患当事者・市民の研究参画の現状と課題点について、理論面と実践面の双方から明らかにし、国内の研究開発における責任ある研究・イノベーションの実現に向けた研究参画方法を示すことを主たる目標とする。本年度は、1)昨年度までに得られた知見を土台としてより良い実践方法を探るべく、再生医学・iPS細胞研究をテーマとした2回の試行を行い、より良い実践方法を確立することを目指した。これらの試行は、特に基礎研究の領域における国内型の研究への患者・市民参画の実践方法の提案を目指すものであった。それらの試行と合わせて、2)これまで行ってきた、研究者と患者・市民の広義のパートナーシップ形成に向けた対話実践を通じ、研究者共同体と患者・市民個人のコミュニケーションのあり方について検討を行った。これら2点の結果を踏まえ、国内学会で発表等で議論を重ねたのち、参加者の負担が少なく利点が多い、より簡便な参画方法並びに機会が必要であることが明らかであったため、研究計画を変更して、そのための方法を考案して第一回目の試行を行った。また、責任ある研究・イノベーションの観点から見た研究者と患者・市民間の対話の重要性について紹介したウェブサイト(https://www.ppie.info/dialogue/)を作成し、これまで実践した企画並びに関連企画、作成したリーフレットを社会と研究者に向けて公開した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度に予定していた1)これまでの調査結果を踏まえた多分野での批判的検討、2)責任ある研究・イノベーションの観点からみた、国内研究への患者・市民参画像の確立と実現方法の提案の両者について、いずれも論文投稿(3月時点で採択決定)並びにウェブサイト構築まで行うことができた。その結果、これまでの検討結果を踏まえて、より良い形、具体的には参加者の負担が少なく利点が多い形の参画方法を検討する作業が必要であると判断したため、第一回目の試行を行うとともに延長申請を行い許可された。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で着目する疾患当事者の研究参画をめぐる国内状況は2018-2019年度に急変し、臨床研究や治験における研究参画の基本枠組み、制度整備が進んだ。今後はその枠組み内で方法論の整備と実践が急増することが予想されるため、本研究の対象範囲を変更して基礎研究領域に絞った。基礎研究領域は、患者・市民参画のあり方や意義、方法論の面で、前述の基本枠組みとは一致し得ない部分がある、つまり責任ある研究のあり方、進め方が異なるためである。本研究では、そのような差異に対応した形の方法論と理論的背景の検討を進めることが必要であると考えて延長申請を行い(そのために一部調査を取りやめて研究費を確保した)、許可された。ただし新型コロナウイルス感染症の影響で、当初予定していた対面企画の実施が極めて困難となったため、オンライン開催を念頭に開催形式の検討を進める。
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Causes of Carryover |
別箇所で述べたように、本研究が主たる研究対象に据えてきた疾患当事者の研究参画をめぐる国内状況が2018-2019年度における公的機関の動向を受けて急変したことと、これまでの研究結果をを踏まえ、本研究では当初の目的を変更した。具体的には、臨床研究や治験における研究参画の基本枠組みと制度整備が進んだため、本研究では基礎研究領域に特化した方法論と理念の検討を進めることとして、これまで得られたデータの分析と新たな方法の理論面での検討を進める一方で、2019年度から新たな方法論の開発を進めた。そして研究目的の変更にあわせて、開催予定だった一部の試行を取りやめて次年度に行う試行費用を確保して新たな方法の試行のための延長申請を行った。ただし新型コロナウイルス感染症の影響で対面企画の実施が極めて困難となったため、オンラインでの試行実施に向けて再検討を行っている。
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Research Products
(11 results)