2017 Fiscal Year Research-status Report
大規模オンライン実験手法の確立による社会的ジレンマ研究のブレークスルー
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17K18583
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Research Institution | The University of Aizu |
Principal Investigator |
吉良 洋輔 会津大学, コンピュータ理工学部, 准教授 (80748757)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大林 真也 青山学院大学, 社会情報学部, 助教 (10791767)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | オンライン実験 / 社会的ジレンマ / 協力 / ゲーム理論 / 社会規範 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、オンライン実験システム構築の準備として、理論モデルの構築と通常の実験室実験による予備的検討を行った。 理論モデル構築に関しては、①繰り返しゲームにおける規範の内面化および②進化ゲームにおける非効率的な規範の維持を分析した。①では、自己の利益をわざと減少させる行動を取る戦略を規範の内面化として位置づけ、これが均衡として維持される条件を導出した。②では、レプリケーターダイナミクスモデルを用いて、利他的制裁が実行可能なN人囚人のジレンマモデルを分析した。ここでは、ALL-D、利他的制裁無しTFT、利他的制裁有りTFTの三戦略を考慮した。そして、囚人のジレンマにおける公共財の価値が協力のコストを下回る条件でも協力行動が実行される均衡が出現する条件を分析した。これらの成果はそれぞれ、投稿論文およびポスター報告を行った。 実験室実験による検討では、非効率的な規範の発生プロセスを、学生を対象とする実験室実験により検討した。この実験では、非効率的な公共財に投資をするか否かを決める第一ステージと、利他的制裁または利益の譲渡を行うことができる第2ステージを設定し、第2ステージで制裁および譲渡が可能であるか否かをトリートメントとした。すでに実験はおおむね終了し、現在データ分析を行っている。この結果は、次年度構築するオンライン実験環境の参考とすると同時に、単独で投稿論文として取りまとめる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
オンライン実験システム構築に必要な予備的検討は終了し、次年度にはシステム構築へ本格的に着手できる状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
理論モデルおよび実験室実験によって得られた結果は、それぞれ単独の論文として取りまとめる。併せてオンライン実験システムの構築を行い、次年度中には完成させることを目指す。
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Causes of Carryover |
予備的検討の段階ではシステム構築の人件費が不要となり、次年度使用額が発生した。次年度以降の予算が増加したことにより、募集する被験者の規模を大きくすることが可能となったため、次年度および次々年度に活用する。
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Research Products
(3 results)