2021 Fiscal Year Research-status Report
高齢期におけるセクシャル・マイノリティの介護・福祉サービス利用に関する課題の解明
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17K18589
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Research Institution | Nippon Sport Science University |
Principal Investigator |
北島 洋美 日本体育大学, 体育学部, 教授 (00614439)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2023-03-31
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Keywords | 性的マイノリティ / 高齢期 / 特別養護老人ホーム / 差別偏見 / サービス提供者 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,性的マイノリティ高齢者が安心して介護福祉サービスを利用できるようにするために,「当事者の不安やニーズを明らかにすること」と,「サービス提供者の意識や対応を明らかにすること」である.本年度は,前年度までに実施した「当事者へのインタビュー調査」及び「特別養護老人ホームのスタッフへのアンケート調査」の分析の継続,公表に向けての精査を行った.当事者の不安やニーズに関しては,当事者たちが社会の中の否定的な価値観の影響を受け孤立しやすい状況にあり,老後の不安や課題について,主には自助・互助で備えようとしていること等が明らかになった.スタッフへのアンケート調査に関しては,スタッフの対応は「積極的な対応」よりも「批判的な対応の回避」が高いこと,それぞれが当事者の希望に対する認知を上回っていたことが示された.さらに再分析を行った結果,「積極的対応」には「雇用形態」「LGBの人が周囲にいる」と「当事者の希望に対する認知」が,「批判的な対応の回避」には「同性愛者への嫌悪感」「同性愛者への態度」と「当事者の希望に対する認知」が有意に影響していることも明らかになった.さらにスタッフアンケートの自由回答からは,回答者の多くは性的マイノリティ入居者に対して受容的であり,当時者の意向に沿った対応をするために知識を得たいと考えていることが示された.しかし一部には,性的マイノリティ高齢者の固有のニーズに対する理解不足等があることが窺え,正確な知識を得て理解を深める機会の必要性が示唆された.これらの結果についての学術雑誌への投稿に向けて集約を行ったが,新型コロナウィルス感染症の影響を受け進行が遅れたため,次年度も継続して研究結果の公表手続きを行う.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルス感染症の感染拡大防止のため,研究データが保存されている場所(大学研究室)への出入りや,先行研究等の文献,書籍へのアクセスが制限されたため,本年度に予定していた調査結果に関する総合的な分析と考察,公表への準備が十分にできなかった.
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Strategy for Future Research Activity |
実施した二つの調査に関する総合的な分析と考察を行い,研究成果を研究会,学術雑誌等で発表する.
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症の感染拡大防止対策に伴い,予定していた研究が行えず本年度に支出することができなかった. 次年度は研究結果の精査と研究成果の発表をおこない,それにかかる経費に助成金を充てる.
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