2018 Fiscal Year Research-status Report
Study on resettlement of climate refugee
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17K18590
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
藤倉 良 法政大学, 人間環境学部, 教授 (10274482)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中山 幹康 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (10217945)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | 気候変動 / 移民 / 統合 / マーシャル諸島共和国 / ウイーン市 |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年度にマーシャル諸島共和国にあるUniversity of the South Pacific (USP)の学生に対してアンケート調査を実施したが、2018年度は同国にある College of Marshall Islandsの学生にアンケート調査を実施した。80%の学生が米国への移住を希望しており、理由の59%は進学であった。また、彼らは海面上昇を示す科学と二度目の大洪水を否定する聖書の記述の両方を信じており、思考の中で科学と宗教の矛盾していることが明らかとなった。さらに、マーシャル諸島共和国、ミクロネシア連邦、パラオの3カ国からの移民が集中している米国オレゴン州ポートランドでヒアリング調査を実施した。移住の目的は教育が最も多かったが、その傾向はパラオ人に顕著であり、マーシャル人では家族との同居と回答する者が多かった。オレゴン州で仕事を行う上での困難として、ミクロネシア人とマーシャル人は定時の出勤をあげる者が多数を占めたが、それはパラオ人にはなく、出身国による違いが顕著に表れていた。次に、気候難民のホストコミュニティへの統合を進める参考とするために、第二次大戦後、多数の難民を受け入れてきたオーストリア、ウイーン市の統合の取り組みを調査した。ウイーン市では移民をスムーズに現地社会に統合するための様々な工夫がなされている。移民はドイツ語を習得することが義務付けられているので、様々なドイツ語講座を提供している。また移民の統合を図るため住宅を分散させる政策を採用している。特筆すべきは精神面でのケアである。多数の心理専門家が移民や市民のケアに従事している。マーシャル人の自殺率は高く、米国に移住した後においても改善されない。米国でも同様の取り組みを進めることができれば、マーシャル人の精神的な課題の解決の一助になると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
College of Marshall Islandsに学生に対するアンケート調査を依頼したが、その同意に若干の時間を要した。しかし、最終的には無事調査を予定通りに完了することができた。また、ウイーン市の関係者は本調査に好意的に対応してくれたので、順調に調査を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
ミクロネシア連邦での調査を行うとともに、マーシャル諸島と米国での移民先、ウイーン市での調査の深堀りをさらに進めたい。その結果は、最終年度である2019年度に学術誌の特集号として刊行する予定である。
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Causes of Carryover |
2019年3月に米国で開催した会議にかかる費用の執行が年度をまたいだため。このほぼ全額が会議費で執行予定。
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Research Products
(4 results)