• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2021 Fiscal Year Research-status Report

The Development of a New Model of Relating to People with Dementia

Research Project

Project/Area Number 17K18596
Research InstitutionOtani University

Principal Investigator

翁 和美  大谷大学, 真宗総合研究所, 研究員 (10780421)

Project Period (FY) 2017-06-30 – 2023-03-31
Keywords相互了解世界 / 日常生活世界 / 医療の場との接合 / 個別性 / 主体
Outline of Annual Research Achievements

本研究は、主体論として展開されてきた従来の介護論を「相互了解世界アプローチ」(以下、新モデル)へと刷新する道筋を示すことを目的としている。新モデルは、研究代表者がそれを見出した社会では正当に評価されていない。一方、新モデルを高く評価し始めている社会があり、比較することで、家族介護を基礎に据える地域主義の介護との混同が、新モデルの正当な評価の妨げになっていることを明らかにしてきた。
新モデルの基盤となる医療の場と「日常生活世界」を接合する試みは、主体を撹乱したとしても個別性を圧迫しない。これが新モデルの機能である点は立証したが、一方で、各土地が持つ時代と歴史の記憶は、程度の差はあれ、個人の記憶と重なる点からも考えることができる。新モデルでは、ユニット・ケアと回想法と過去の環境の再現の3つの方法論が「日常生活世界」アプローチとして昇華している。そこで、新モデルを見出した地域が持つ時代と歴史の記憶を収集する社会踏査を行なっているが、地域が持つ時代と歴史の記憶媒体が観光資源にならずに民衆の生活と密着したままの傾向があることが見えてきた。
一方、新モデルを正当に評価しない社会で、医療の場と「日常生活世界」を接合する試みを個人で始めた看護・介護従事者の活動の一つが実を結びつつあり、それを調査できる許可を地域の責任者から得ることができた。企画が登場してから20年の歳月を要してこの小規模多機能型デイサービスが実現しようとしている地域にはさまざまな力学が働いており、現在は、これまでの調査協力者だけではなく、調査対象地域のできるだけ多くの人びとと関係を作るよう努力している。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

本年度も、昨年度COVID-19感染防止対策の影響で、新モデルを高く評価し始めている社会とそこにある新モデルと類似する実践を行なう介護施設でのインタビュー調査は実施できなかった。そのため、当初の研究計画の変更を余儀なくされ、かなりの遅れが生じている。そのため、やや遅れている、と自己評価した。当初の研究計画の変更を余儀なくされたものの、昨年同様、本来の目的に沿った研究そのものは大きく進展している。新モデルである「相互了解世界アプローチ」の基盤である医療の場と、「日常生活世界」を接合する取り組みを個人で始めた看護・介護従事者の活動が一つの実を結びつつあり、それを調査できる許可を地域の責任者から得ることができた。企画が登場して20年、この小規模多機能型デイサービスの調査を通じて、医療の場に「日常生活世界」を接合する道筋を明らかにしていきたい。

Strategy for Future Research Activity

昨年度と基本的に変更はない。
医療の場に「日常生活世界」を接合する実践は、現在、欧米社会を中心に取り入れられ始めている。COVID-19の感染状況が落ち着き、自由な渡航が可能になれば、それらを踏査し、新たな工夫とその効果についてインタビューを行なう。また、すでに許可を得ている、「日常生活世界」実践が高く評価されている社会にある介護施設のパブリック・スペースでのインタビュー調査を再開する。
一方、本年度に新たに開始した、医療の場に「日常生活世界」を接合する実践が始まろうとしている現場をインタビューを交えて参与観察する調査を本格的に実施する。地域の責任者に調査許可をいただいたので、2022年11月に開始する小規模多機能型デイサービスの参与観察を行なう。
また、「日常生活世界」は、個別性を圧迫していかないことについて、その土地その土地が持つ時代と歴史の記憶が、多かれ少なかれ、個人の記憶と重複している点から明らかにする調査を継続して行なう。時代と歴史の記憶媒体が観光資源にならずに民衆の生活と密着したままの傾向を持つこの地域のA地区では2022年度、非常に重要な神事がある。研究協力者のおかげでこの神事に参加できることになっており、参加し、データを蓄積する。

Causes of Carryover

COVID-19の影響で、参与観察実施に著しい支障が起こった。「日常生活世界」実践が高く評価されている社会とそこにある介護施設での調査を模索したい。しかしながら、とりわけ、介護施設での調査実施の可能性は、COVID-19の影響が深刻であるため、2021年度同様、極めて薄い。そこで、2021年度から本格的に開始した、研究代表者が「日常生活世界」を見出した社会において、医療と日常生活世界を接合する取り組みを個人で始めた介護・看護従事者の活動を追う調査を本格的に実施する。また、「日常生活世界」は、個別性を圧迫していかないことを立証するための社会踏査を地域を拡大して行なう。
前者に関しては、2022年7月以降、月1回の頻度で参与観察を行なう。1回につき旅費は約10万円を見込んでおり、少なくとも8回実施することにより合計約80万円になる見込みである。調査地の特性として電子機器が傷みやすい上に、現在使用中のデジカメに誤動作が生じ始めており、10万円前後のデジカメを1台購入する。
後者に関しては、2022年7月以降、月1回の頻度で資料の収集を行なう。1回につき旅費は約5万円を見込んでおり、少なくとも8回実施することにより合計約40万円になる見込みである。

URL: 

Published: 2022-12-28  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi