2022 Fiscal Year Annual Research Report
Desingning social surveys effective for multilevel analysis
Project/Area Number |
17K18599
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Research Institution | The Institute of Statistical Mathematics |
Principal Investigator |
前田 忠彦 統計数理研究所, データ科学研究系, 准教授 (10247257)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2023-03-31
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Keywords | 標本設計 / 地点間異質性 / 級内相関 / 方言意識 / 地域差 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の当初の目的は,社会調査において典型的な標本設計である層化二段抽出の設定を前提として,分析時にマルチレベル分析を採用する際に何らかの意味で有利になるような調査設計の方法を,主に標本設計の観点から開発しようとするものであった。この設定でのマルチレベル分析にとって,級内相関と呼ばれる調査地点間の異質性が高い変数の存在が,分析成功の鍵になる。実際の社会調査では,この部分を意図的に高めるような設計を採ることは一般に行われていないが,調査の目的によっては,有利な分析条件をもたらすような設計を積極的に採用することも有効と考えていたが,前年度までに,理論的な検討およびいくつかの実データに基づく検討を行ったものの,こうした見立てについて有効な手立てを見出せない状況が続いた。 上記の問題意識に基づく検討を本年度(延長最終年度)前半にも改めて行ってきたが,結論的には,主に地点間異質性は変数(調査項目の内容)に備わる性質であるため,標本設計の観点からの積極的な制御は難しく,当初の見込みが外れたというのが現状となった。 こうしたことから,本年度後半には,過年度までの検討を踏まえた内容の実データとして,オンラインパネル対象とし,回答者の居住地域として市区町村レベルの情報を含むウェブ調査の設計と実施に注力した。調査テーマとしては方言意識などの社会言語学的なテーマ,および回答者の居住する地域の特徴など,地域差を反映しやすい内容を含むデータを取得し,過年度までの既存の実データに基づく一般的な検討例(例えば統計数理研究所の「日本人の国民性調査」に由来する項目等)よりも,地点間異質性の高いデータを得る事に成功した。こうしたデータを各テーマとの専門家と共有し,実質科学的な研究成果に繋げるという形での研究展開は可能と想定している。
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Research Products
(5 results)