2017 Fiscal Year Research-status Report
日本型コンビニエンスストアのアジア展開とその現地化過程
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17K18600
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Research Institution | Institute of Developing Economies, Japan External Trade Organization |
Principal Investigator |
佐藤 寛 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 新領域研究センター, 上席主任調査研究員 (50403613)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 かおり 大阪大学, 人間科学研究科, 招へい研究員 (00782781)
田崎 智宏 国立研究開発法人国立環境研究所, 資源循環・廃棄物研究センター, 室長 (10353541)
大野 敦 立命館大学, 経済学部, 准教授 (20432726)
下田 恭美 筑波大学, 人文社会系, 研究員 (30746483)
関根 久雄 筑波大学, 人文社会系, 教授 (60283462)
浜本 篤史 名古屋市立大学, 大学院人間文化研究科, 准教授 (80457928)
原田 優也 沖縄国際大学, 産業情報学部, 教授 (90352476)
佐藤 幸人 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 新領域研究センター, 研究センター長 (90450460)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | コンビニエンスストア / 日本型 / クール・ジャパン / 現地化 / 小売業 / パパママストア / 物流革命 |
Outline of Annual Research Achievements |
三年計画の第一年度に当たる2017年度は、二度の研究会(8月10日、2月10日)で研究チーム内のブレインストーミングをするとともに、各自がそれぞれのフィールドに赴いて、それぞれの担当国での日本型コンビニの展開状況を確認する作業を行った(ただし、各自の出張は必ずしも本科研の旅費を用いたわけではなく、別途研究事プロジェクトの資金を利用して行った場合もある)。 東アジアの中でも台湾では、自治体によるコンビニを利用した「生活防衛ステーション」という試みが進行しており、特に都市部において虐待児童などの早期発見に一定の実績を上げていることが明らかになったが、これはコンビニの「社会インフラ」としての有用性を高める事例として今後他の国でどのように波及していくのかが注目される。 東南アジアは、特にタイでのセブンイレブンの存在感が大きいが、タイのセブンイレブンは日本のセブンイレブンとの間に直接的なフランチャイズ関係はなく、親会社であるCPオール社はタイの農産物・物流関係の最大手企業であり、タイの消費者もセブンイレブンはタイのブランドであると認識している。しかしながら同時に、商品の品ぞろえの中に占める「日本的」な商品の割合や、店舗内のディスプレイなどは明らかに「日本型」の影響が見て取れる。こうした、資本関係とは異なる流れでの「日本型」の波及過程も研究対象として重要であると思われる。 インドネシアでは、日系のセブンイレブンが撤退するという事態が発生したが、それにもかかわらず地場系のコンビニチェーン(インドマレ、アルファマート)は、着実に店舗数を増やし、遠隔地にも展開している。ここでも、店舗のレイアウトなどに「日本型」の影響を見ることができるが、これと並行してサプライチェーンマネジメントに、どの程度日本型の特質が浸透していくのかが今後のポイントとして興味深い。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
東南アジアでのコンビニの実態調査を複数の国で行ない、比較することを考えているが委託手続きなどに手間取り、本来2017年度に支出する予定であった経費が2018年度にずれ込んだが、これ以外は順調に推移している。 ただし、萌芽的研究であることもあって本研究にかかわる論文等の発表実績はまだない。
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Strategy for Future Research Activity |
第二年度目にあたる2018年度は、各分担者の個別の研究を進めるとともに、相互比較のために研究会を二度ほど開催したい。同時に、タイ以外の国(インドネシア、ベトナムなどを想定)でも、2017年度にタイで行ったコンビニ利用者実態調査を、委託調査の形で実施することを計画している。また、タイの実態調査の結果を、日本国内で発表するとともに、タイでもタイ人研究者とともに成果発表会を実施して、在タイ日系企業に対する啓発活動を行ってみたい。
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Causes of Carryover |
タイのコンビニ実態調査を、現地の大学に委託して実施したが手続きに手間取り、年度内に支払うことができなかったため。ただし、2018年度早々に当初予定通り支払いが完了する予定である。
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