2019 Fiscal Year Research-status Report
視線研究に基づくASD児者の予測性を高める授業及び教材デザインの検討
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17K18605
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
齊藤 真善 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (50344544)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安達 潤 北海道大学, 教育学研究院, 教授 (70344538)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2021-03-31
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Keywords | 特別支援教育 / 自閉症スペクトラム障害 / 授業デザイン / 眼球運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度予定の「成人ASD による授業モニタリング調査による一斉授業の問題点についての検討」は終了し、その結果は第54回日本発達障害学会において発表を行った。通常学級における一斉授業場面を撮影したビデオ映像を成人ASD者と定型発達の大学生(以下、Neuro Typical:NT)にTobii Pro Glasses2を装着した状態で視聴してもらい、授業場面視聴後の理解度、ストレス度等を調査する構造化インタビューの回答と眼球運動の記録をもとに、一斉授業場面におけるASDにとっての課題を検討した。結果、アクティブラーニング(問題解決・討論型授業)による授業内容の理解度は、ASD群がNT群に比べ有意に低かった。教室環境(対教師・対児童)へのストレス度は、ASD群がNT群に比べ有意に高かった。眼球運動の結果から、導入場面ならびに討論場面において、ASD群はNT群に比べ視線分布が分散する傾向が見られた。特に、討論場面では、児童の同時発話による聴覚刺激の増加ならびに情報リソースの移動、挙手等の動作による視覚刺激の増加が影響していたと考えられた。ASDの理解度、集中度の向上には、授業目標の明確化、情報量の統制が必要であるが、学習内容によっては、集団指導ではなく個別指導がふさわしいと考えられれた。平成30年度予定の「対人的学習場面とコンピューターによる学習場面の相違点についての検討」ならびに平成31年度予定の「授業・教材デザインの構造化と視線の動きの効率化の関係についての検討」については、実験刺激の作成を終え、実験手続きも整えたところである。また、数名の定型発達者を対象に予備実験も行い、分析方法を確立させた。現在、成人当事者ならびに特別支援学級の生徒を対象に、被験者の募集を行っているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルスの影響により、平成31年度に予定していた実験予定が中止となったため、研究計画の実行が遅れている。本研究は、平成31年度に終了予定であったが、令和2年度まで期間延長申請を行い、その許可を得ている。現在、大学施設の利用が制限されており、また市内の小中学校への訪問へも配慮が必要なことから、今後、コロナウィルスの収束をまって、「対人的学習場面とコンピューターによる学習場面の相違点についての検討」ならびに「授業・教材デザインの構造化と視線の動きの効率化の関係についての検討」についての実験計画を実行する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
実験に係る刺激作成、手続き、分析方法については確定しているので、コロナウィルスの収束を待って、データ収集を行う。被験者の募集については、成人当事者は親の会、当事者団体に、また中学生については北海道教育大学付属札幌中学校特別支援学級に依頼を行い、協力の承諾を得ているところである。現在、被験者の募集中である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの影響により、令和2年度へと実験計画が延長したことに伴い、平成31年度中に執行すべき使用額が残っているためである。本使用額は、令和2年度に実施する実験において、被験者への謝金として支出される。
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Research Products
(1 results)