2020 Fiscal Year Research-status Report
視線研究に基づくASD児者の予測性を高める授業及び教材デザインの検討
Project/Area Number |
17K18605
|
Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
齊藤 真善 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (50344544)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安達 潤 北海道大学, 教育学研究院, 教授 (70344538)
|
Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2022-03-31
|
Keywords | ASD / 眼球運動 / 授業デザイン / 合理的配慮 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度は、主に「授業・教材デザインの構造化と視線探索パタンの効率化との関係についての検討」に関わる実験を実施した。黒板に視覚教材を掲示し、その掲示物の説明を行う授業場面に見立てたビデオクリップを作成した。教授行動や視覚教材の数(3個、6個)を独立変数として設定した。教授行動として、「指差しの有無」、「説明者の視線の方向(一致、不一致)」、「説明者の指差しと掲示物の距離(遠い、近い)」、「指差しと発話タイミング(同時、継次)」の四つであった。対象者は、定型発達成人(大学生)および、ASDの診断のある中学生3名であった。結果、定型発達成人は、「視覚教材の数」が少ない条件では、多い条件に比べてターゲットである視覚教材への総注視時間、および総注視回数が増加した。また、「説明者の指差しと掲示物の距離」が近い条件では、遠い条件に比べて、ターゲットに視線が到達するまでの時間が短く、かつサッケードの回数がすくなかった。ASDの中学生は、定型発達成人に比べ、指差しの効果が低く、指差し有条件でも、ターゲットに到達するまでのサッケードの回数が定型発達成人に比べて多く、また「説明者の視線の方向の一致・不一致」はターゲットに到達すまでのサッケードに影響を与えていなかったことから、共同注意の問題が生じていることが推測された。令和3年度は、ASD成人、および中学生の定型発達生徒を実験協力者として募集し、計画を完遂する予定である。また、「対人的学習場面とコンピューターによる学習場面の相違点についての検討」についても、定型発達成人を対象に現在、実験を実施している最中である。令和3年度は、ASD成人の実験協力者を募集し、計画を完遂する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルスの影響により、令和元年に引き続き、令和2年度に予定していた実験予定が中止となったため、研究計画の実行が遅れている。本研究は、平成31年度に終了予定で あったが、令和3年度まで期間延長申請を行い、その許可を得ている。現在、大学施設の利用が制限されており、また市内の小中学校への訪問へも配慮が必要なことから、今後、コロナウィルスの収束をまって、「対人的学習場面とコンピューターによる学習場面の相違点についての検討」ならびに「授業・教材デザインの構造化と視線の動きの効率化の関係についての検討」についての実験計画を実行する予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
実験に係る刺激作成、手続き、分析方法については確定しているので、コロナウィルスの収束を待って、データ収集を行う。被験者の募集については、成人当事者は親の会、当事者団体に、また中学生については北海道教育大学付属札幌中学校特別支援学級に依頼を行い、協力の承諾を得ているところである。現在、被験者の募集中である。
|
Causes of Carryover |
令和2年度はコロナのため、ASD成人の実験協力者を募集したが、希望者がいなかった。次年度の使用額は、令和2年度に謝金として使用する予定であったものである。本年度はコロナが収束次第、改めて実験協力者を募集する予定である。令和2年度と同様に、令和3年度においても謝金として使用する。
|