2022 Fiscal Year Annual Research Report
The Study of Factors that Increase Predictability in Children with ASD in Classroom Situations
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17K18605
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
齊藤 真善 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (50344544)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安達 潤 北海道大学, 教育学研究院, 教授 (70344538)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2023-03-31
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Keywords | ASD / 眼球運動 / 授業デザイン / 合理的配慮 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、研究計画の(2)「対人的学習場面とコンピューターによる学習場面の相違点についての検討」と(3)「授業・教材デザインの構造化と視線探索パタンの効率化との関係についての検討」について実験を行った。 (2)では、成人NT12名と中学生ASD6名を対象として、架空の国のあいさつ(ジェスチャー)について説明する映像を用い、①教師の顔、指差し動作が画面内にいる条件(いる条件)と②教師が画面内にいない条件(いない条件)における注視回数の割合を算出した。結果、中学生ASDは成人ASDに比較して、(教師が)いる条件において教師の腕ならびに教師の体への注視回数が有意に多かった。教材と視野内に教師が同時に存在し、かつ教師が教授行動を示している場合(指差しよるポインティング)、中学生ASDは情報源の確認のため成人NTよりも、指さしに注目する傾向があることが示された。 (3)では、中学生ASD8名を対象とした(対照群は実施済み)。黒板に掲示した動物の写真について教師役が説明を行っている映像を用い、教師役の教授行動ならびに黒板に掲示する情報量を変数とした。ターゲットに到達するまでの注視回数ならびに共同注視パタン数において、中学生ASDが成人ASDよりも有意に回数が多かった要因・条件は、①指さしあり条件、②教師の指さしと視線の方向が不一致条件、③教師の指さしとターゲット写真までの距離が遠い条件、④発話のタイミングが映像開始と同時条件、⑤黒板に掲示された写真が多い条件の五つの条件であった。ターゲットまでの到達時間は両群で同じであったが、中学生ASDは成人ASDよりも注視回数が余分に必要であった。教師の動作を手掛かりに適時、説明の対象となっている情報源(本実験ではターゲット写真)にアクセスするには、教師の教授行動の違いや黒板上の情報量の多少によって、敏感に影響を受けていると推測された。
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