2019 Fiscal Year Research-status Report
「仮想の人の存在」を文章から感じて「個人で対話的に学ぶ」プロセスの認知科学的解明
Project/Area Number |
17K18620
|
Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
島田 英昭 信州大学, 学術研究院教育学系, 教授 (20467195)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井関 龍太 大正大学, 心理社会学部, 専任講師 (60436269)
藤木 大介 広島大学, 教育学研究科, 准教授 (60403599)
|
Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2021-03-31
|
Keywords | 文章理解 / 共感 / 心理実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
主に以下の2点を行った。 第1に、架空の対話による学習の事例の収集のために13名へのインタビュー調査を行い、著者・登場人物・仮想の子ども・テレビといった対話対象が得られ、対象がある場合はない場合に比べ発声を伴わない(内言)傾向を明らかにした研究について、日本心理学会第83回大会において成果報告を行った。 第2に、学習時に仮想的な他者と対話する傾向の個人差を測定するための心理尺度開発を行った。前年度に共同研究者と概念整理を行い作成した項目候補をもとに、大学生667名を対象にインターネット調査を行い、「架空の他者との学習傾向」を測定する10項目(例:勉強のときに、自分自身の中にいる仮想の誰かと対話する;勉強したことを自分が理解しているかどうか確認するため、そのときにいない友だちや先生などの人を想像し、その人に説明してみる)を同定した。内的一貫性は十分であり、「説明文・論説文読解時の著者想像」(対話意図、著者共感、著者想像の3因子)、「現実の対話的学習の好み」、「Creative Experience Questionnaire の日本語版」(岡田他, 2004)との基準関連妥当性を確認した。なお、この結果はThe 32nd International Congress on Psychologyにおいて報告する予定であったが、新型コロナウイルス感染症対策の影響で2021年度に延期される見込みである。 その他、関連研究として以下を行った。第1に、仮想の人の存在を感じる材料である文章に対する理解を対象とした研究を行った。第2に、仮想的人物の表現形態としてアバター(仮想的な人物)に着目し、アバターからの学習について情報収集と実験準備を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2017年度の調査から計画した内容について、2019年度は2018年度の研究成果を報告し、2019年度に「架空の他者との学習傾向」を測定する尺度を構成するという目標を達成しており、おおむね順調に進展していると判断した。なお、1年間の延期をしているが、成果報告時期の都合によるものであり、研究自体はおおむね順調に進展していると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
2020年度は延長期間であるため、これまでに得られた成果を報告する予定である。ただし、新型コロナウイルス感染症のためスケジュールが延期される可能性はある。
|
Causes of Carryover |
学会スケジュールの関係で、成果報告を2020年度に行うことにしたため、次年度使用額が生じた。次年度使用額は成果報告と関連研究の実施に使用する。
|
Research Products
(3 results)