2017 Fiscal Year Research-status Report
教育的活用が可能な事故・不祥事事例の新しい分類法及び情報提供システムの開発
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17K18624
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
林 瑠美子 名古屋大学, 環境安全衛生推進本部, 准教授 (50508421)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
富田 賢吾 名古屋大学, 環境安全衛生推進本部, 教授 (70422459)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | 安全教育 / 事故情報 / 大学 / ヒューマンエラー |
Outline of Annual Research Achievements |
大学では、研究教育活動中の事故や不祥事等が発生しており、構成員の怪我や病気、研究教育活動の継続に対する大きなリスクとなっている。現状は学内規程や通知による周知、座学形式の安全講習などで対策を行っているが、守るべきルールや事故のパターンに関する情報が膨大で、構成員が自分に関係の深い内容を選別することが難しい。また、構成員全員を対照とした座学形式の安全教育では、一般論的な内容にならざるをえず、個別具体的な事故情報を適切に構成員に伝えることが難しい。そこで、本研究では、情報の受け手のニーズに合わせて事故等の情報を選別し、提供する手法を開発することを目的とし、以下の検討を進めた。 (1)事故情報の収集と情報レベルの分類:今年度は大学における教育研究活動中の事故を対象とし、事故情報の収集と分類を行った。収集目的や方法、取りまとめ方、フォーマット等によって記載内容や情報の深度が大きく異なため、報告先(当局、大学本部、自主的な記載等)、記載者(事故当事者、調査委員会、第三者等)、収集方法も調査した。 (2)事故の内容分析による特徴抽出:各事例の事故要因について、ヒューマンエラーなどの観点で特徴語(キーワード)抽出を行い、事故報告書等の記載内容に対し、キーワードによる事故の類型化を行う手法を構築した。この手法を用いて、当事者の属性等による分析を行い、本手法で事故の特徴抽出や類型化ができる可能性を示した。 (3)教訓の抽出:事故事例の教育的活用のためには、伝えるべき教訓の整理が重要である。いくつかの代表的な事故事例について、教訓の抽出方法を検討した。その結果、伝えたい教訓のエビデンスとして、事故の詳細情報が必要な場合と、事例が多数あることが重要なケースがあることが明らかとなった。この分類方法として(2)の特徴抽出手法が活用できると考えられ、今後検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は、事故事例側のキーワード抽出について検討を行ったが、研究者側の研究分野等の属性等の抽出は次年度の検討課題として残った。これは、検討を進める中で、事故事例を元に伝えるべき教訓の整理を先に行うべきと判断し、平成30年度実施予定の内容を前倒しして検討したためである。全体としては順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は研究者側のキーワード抽出等を行うとともに、研究者への情報提供の方法を検討する。平成31年度に向けて、情報提供手法を行うための簡易的なシステムを構築し、モニター調査等による評価を行う。これらの結果フィードバックし、平成29年度に検討したキーワード抽出手法や分類方法の改善を行うとともに、システムの活用方法(メール配信、E-learningなど)の検討を行う。
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Causes of Carryover |
平成29年度に、事故情報の入力業務やキーワード付加作業等の研究補助業務のために人件費を計上していたが、現時点で解析のために必要なデータの追加入力作業付加が予定より小さく、平成30年度以降の実際の情報活用のための入力作業やシステム開発費が膨大になると予想されたため、平成30年度以降に使用することとした。
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