2019 Fiscal Year Research-status Report
アクティブラーニングに活用できる教室用音声環境の開発
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17K18631
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
前迫 孝憲 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (00114893)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒田 恭史 京都教育大学, 教育学部, 教授 (70309079)
河崎 哲嗣 岐阜大学, 教育学部, 准教授 (00582488)
岡本 尚子 立命館大学, 産業社会学部, 准教授 (30706586)
西森 年寿 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (90353416)
ZAORSKI SPENCE 大阪大学, 人間科学研究科, 助教 (70779660)
奥林 泰一郎 大阪大学, 人間科学研究科, 招へい研究員 (60580941)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2021-03-31
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Keywords | 教育工学 / アクティブラーニング / 音声 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、教室等の同一室内を複数の音響空間に分割して、グループや個人単位に分離可能とし、アクティブラーニング等のグループ活動や多言語学習に対応できる音声環境を開発することを目指した。 指向性音響システムとして、各種方式の音声変調を行なった超音波帯域の信号を、任意の空間・方向に向けて送出可能な超音波スピーカ装置を作成、実験を進めた。超音波は直進性が高く、壁や床、窓等に当たった部分が新たな音源となるため、送出方向を変更できる仕組みの場合、従来の教室等では、反射音源の吸音材等での抑え込みが困難なことを確認した。そのため、超音波の垂直方向への囲い込みや吸音処理が可能となるよう、天井に分散配置した超音波スピーカ装置直下に聴取者を誘導、必要な音声を選択する等の方法が適当であることを示した。さらに、音声の変調度を深め、超音波出力を聴取に必要十分な値に制御することで、多重波伝播や複数の超音波スピーカ装置の相互干渉、身体に与える影響等の縮減が可能となった。 また、複数の超音波スピーカ装置で、音声変調に用いる超音波帯域の搬送波信号の周波数が異なっている場合、それが重畳して聴取者に到達すると相互変調歪音が現出した。そのため、音声変調に用いる搬送波信号を、分散配置した超音波スピーカ装置間で同期させることで、相互干渉音の除去が可能となった。これらの組み合わせにより、教室内等を複数の音響空間に分割できることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
超音波を利用する指向性音響システムについて、天井等に設置した複数の装置の超音波帯域の搬送波信号を同期させることや、各々の装置の変調度を深め、超音波出力を必要十分なレベルに調節することで、同一室内を複数の音響空間に分割するという当初の目的が達成されたと考えており、研究は概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
超音波を指向性音響システムとして利用するには、周波数に伴う減衰率増加の活用や混変調対策等、残された課題も多い。また今回、音声変調を行なった超音波環境に違和感を感じる内耳手術経験者に出会ったことから、電磁波のFrey効果や音波の進行を揃える平面波活用などについても実験を進めたいと考えている。さらに、新たな音響空間と学習方法との関係などについても、引き続き研究を継続する予定である。
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Causes of Carryover |
コロナウィルス感染防止のために、参加を予定していた関連学会の年会や研究発表会等が急遽、中止になり、その旅費や参加費等の執行ができなくなった。研究成果については、次年度の当該学会等で発表をおこなう予定である。
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