2018 Fiscal Year Research-status Report
災害伝承を教訓とするための発展的アクティブラーニング防災教育教材の開発
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17K18632
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
後藤 健介 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (60423620)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 大輔 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (70243293)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | 防災教育 / 自然災害 / 伝承記録 / アクティブラーニング / グローバル教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在の防災教育は災害に遭遇した際の行動についてのみ教えることが多く、災害の基礎知識について学習できる環境は大変少ない。被災時の緊迫した状況下では正確な状況判断の基準となる災害の基礎知識が重要となる。 本研究では、小学校児童が有している自然災害に対する基礎知識の実態把握を行った上で、防災教育上、欠落している部分を補うための教材開発を試みる。自分たちが住んでいる地域の自然災害に関する伝承記録を題材にし、地域の特徴や災害の歴史を学びつつ、それに関する災害の基礎知識を学習できる、伝承記録を題材にした学校と地域の連携・協働の強化に繋がる教材で、かつ児童自ら伝承記録を登録し、それを公開することで他の学校の教材にもなり得るような発展的アクティブラーニング型e-learning教材の開発を目指す。さらには、海外の災害事例についても調査し、海外の伝承記録についても網羅することで、児童にグローバル教育を行う上での基礎資料として使えるようにするほか、代表的な教材を英訳することで、海外の小学校において日本の防災教育を使用できるようにし、日本の防災教育の海外展開を目指す。 平成30年度は、1)国内の小・中・高等学校の教員に対して、自然災害に対する基礎知識の保有率の調査を実施したほか、2)海外の津波経験国であるスリランカ民主社会主義共和国での小学校教員に対する自然災害基礎知識保有率調査の実施、および3)小学校児童への同様の調査実施への協力要請を行い、4)本研究の目的について説明会を実施し、開発を目指す教材づくりへの要望調査を実施した。また、5)国内の過去あるいは平成30年度に発生した災害を対象として、伝承記録の掘り起こし調査を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国内の各学校において、まずは教員の自然災害に関する基礎知識保有率調査を実施できたほか、小学校児童へのアンケート調査設問事項の決定、実施時期および実施校の決定もできた。また、スリランカ民主社会主義共和国の小学校教員への基礎知識保有率調査を行い、同様のアンケート調査を小学校児童に対して実施することへの協力確約も取れるなど、基礎知識保有率調査が大きく進んだ。 加えて、平成30年度に発生した自然災害の調査を実施するとともに、これらの災害も含む伝承記録調査も前年度に引き続き調査でき、教材づくりの基礎となる資料のアーカイブ化も順調に進み、業者との打ち合わせもこれらに沿って実施できるなど、今のところ順調な進捗状況と言える。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度は、前年度までに引き続き、災害伝承記録の掘り起こし調査の実施、災害のカテゴリー化を進めるとともに、前年度に実施できなかった国内外の小学校児童への自然災害に関する基礎知識保有率調査を早い段階で実施する。これらの結果を基に、教材内容を確定の上、教材のトライアル版の作成を行った上で、最終版を作成し、協力校において、教材使用の効果についての調査を実施する。
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Causes of Carryover |
前年度に実施するはずだった小学校児童の自然災害に関する基礎知識の実態把握調査を 実施しなかったため、郵送費等、および人件費の繰越金が生じたため。また、それによる業者によるトライアル版作成が次年度初めに延期したため。 これらの金額については、両方とも次年度初めに実施、作成する。
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