2019 Fiscal Year Research-status Report
性同一性障害の子どもに対する学校でのメンタルヘルス対策と医療連携の確立
Project/Area Number |
17K18639
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
中塚 幹也 岡山大学, 保健学研究科, 教授 (40273990)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関 明穂 岡山大学, 保健学研究科, 客員研究員 (20314685)
新井 富士美 岡山大学, 大学病院, 医員 (50347986)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2021-03-31
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Keywords | 性同一性障害 / 性的マイノリティ / トランスジェンダー / 学校 / 医療 / メンタルヘルス / 二次性徴抑制療法 / 教材 |
Outline of Annual Research Achievements |
岡山大学ジェンダークリニックを受診する性同一性障害当事者の約6割が自殺念慮をもっており,約3割が自殺未遂や自傷行為の経験や不登校の経験を持っている.子どもの頃の性同一性障害当事者は「自身が何者かわからない」「自分はおかしいのでは」との思いを持つが,自身の悩みを誰にも告白できない場合が多い. このため,性同一性障害当事者の子ども,あるいは,同性愛など,性的指向の悩みを持つ子ども,さらには,性自認や性的指向の視点では多数派に属する子どもにも,性の多様性を理解してもらうため,学級図書などとして役立ててもらうことを想定した大型本,『個「性」ってなんだろう?』を監修,出版した.また, 2017年度に出版した教員向け啓発動画DVD,教員・保護者・学校医向けの書籍『封じ込められた子ども,その心を聴く:性同一性障害の生徒に向き合う』を配布,販売して啓発に努めた.また,将来像が見えず,ライフプランを立てることができないことも,性同一性障害の子どものメンタルヘルスの状態を不良にしている.このため,作成していた性的マイノリティの子ども用のマンガ冊子を改訂した. 「メンタルヘルスの視点に立った学校における性同一性障害子どもへの支援,医療との連携の指針」を作成した.全国各地の教育委員会や人権担当部署と協力し,性同一性障害当事者を含む性的マイノリティ当事者支援のための指針やパンフレット作成に関与,あるいは,本研究により得られたデータを提供した.また,e-ラーニング教材の作成とYouTubeでの動画配信を行うとともに,学校でのライフプランを行う産科医や助産師,また養護教諭などに対して,研修を行い,各地で学校の中での支援を行うことのできる人材のリスト化を行った.講師候補としてバンク化を進めている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
インタビュー調査を継続して行った.学校関係者に対してのアンケート調査とともに,小児科医や学校医へのアンケート調査を実施した.さらに,現在までの調査結果などをもとに,子ども向けの本を出版し,学校と医療との連携を促進するための啓発を行った.さらに,e-ラーニング教材の作成とYouTubeでの動画配信を行うとともに,学校でのライフプランを行う産科医や助産師,また養護教諭などに対して,研修を行い,各地で学校の中での支援を行うことのできる人材のリスト化を行った.講師候補としてバンク化を進めている.COVID-19感染拡大のため,関連学会が延期となり,発表などが遅れた点があるが,研究は順調に進んでいると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,すでに成した動画教材,配信動画などを使用した研修により,大学を中心に支援者の人材のリスト化,人材バンク化を行っている.COVID-19感染拡大が収束すれば,今後,学会と中心として支援者の人材のリスト化,人材バンク化を行う予定である.
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Causes of Carryover |
大学を中心に支援者の人材育成とリスト化,人材バンク化を行っているが,COVID-19感染拡大のため,関連学会が延期となり,学会と中心として支援者の人材育成とリスト化,人材バンク化が遅れている.次回開催時に行う予定である.
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