2019 Fiscal Year Research-status Report
大学におけるセクシュアルマイノリティ学生への包括的支援モデル構築の検討
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17K18640
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
松井 めぐみ 岡山大学, 全学教育・学生支援機構, 准教授 (60400652)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2021-03-31
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Keywords | セクシュアルマイノリティ / 大学生 / 支援体制 / 間接的支援 / トランスジェンダー / 性的指向 / 海外の大学の支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
大学におけるセクシュアルマイノリティ学生への効果的な支援体制構築のため,今年度は海外の大学で行われているセクシュアルマイノリティ学生への支援の調査と,H30年に実施した大学における啓発活動前後の学生の意識変化調査の追加分析,日本国内の全大学への郵送調査の結果について学会発表を行った。 海外の大学の調査では,アメリカとカナダの4年制大学のHPを調査し,各大学のセクシュアルマイノリティ支援部署でどのような支援が行われているかを調べた。その結果,多くの大学で共通して行われているのが,カウンセリング,関連資料の閲覧,イベントの開催,サポートグループ,ミーティング,専用のスペース,性別で区別しないトイレなどがあった。日本の大学ではまだほとんど行われていない支援として,医療ケア,無料の服交換,無料性病検査,奨学金,先輩によるガイダンスプログラム,セクシュアルマイノリティ用の寮,セクシュアルマイノリティの恋人や家族のためのサポート,政治活動等があり,カナダの大学では地域の大学生のためのイベント開催や,学生によるセクシュアルマイノリティに関する活動への募金,仕事の紹介などもあり,今後の日本の大学での支援の参考になるものが多数得られた。 大学における啓発活動前後の学生の意識変化調査の追加分析では,トランスジェンダーかつパンセクシュアルの講師による講演会,啓発展示,関連書籍紹介,資料配布等の啓発活動の前後で「仲の良い友人から同性愛者だとカミングアウトされた時の気持ち」「同性婚についての気持ちや考え」に変化があったかどうかを分析したところ,「仲の良い友人」が自分と同性であった場合,「理解したい」が有意に増加していた。なお同性婚についての気持ちの選択にほとんど変化がなかったのは,講演前から同性婚に対するポジティブな気持ちや多く選択されており,それが維持されたためと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
日本国内の大学への郵送調査の結果を踏まえて行う予定だった当事者学生への調査が,自由記述の分析に時間がかかり年度内に調査が実施できなかったため。また海外の大学の調査は比較対象としてさらに別の国も調査対象として追加し,調査にとりかかっているため。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は,既に実施した全国の大学への郵送調査の結果を分析し,その結果を踏まえて当事者学生へのWEB調査を実施する。また海外の大学の支援状況調査を引き続き行うとともに,これまで得られた知見について学会発表や論文による発表を行う。
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Causes of Carryover |
2019年度に実施予定であった調査が2020年度実施になったため,調査用の費用が使用されなかった。2020年度はその調査を実施し,さらに現在継続中の調査も実施することで,次年度使用額を使用する予定である。
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