2020 Fiscal Year Research-status Report
大学におけるセクシュアルマイノリティ学生への包括的支援モデル構築の検討
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17K18640
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
松井 めぐみ 岡山大学, 全学教育・学生支援機構, 准教授 (60400652)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2022-03-31
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Keywords | セクシュアルマイノリティ / 大学生 / トランスジェンダー / 性的指向 / 支援体制 / 間接的支援 / 啓発活動 / 海外大学の支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
大学におけるセクシュアルマイノリティ学生への効果的な支援体制構築のため,2020年度は2018年度に実施した、日本国内の全大学への郵送調査の結果を分析し、学会発表と論文発表を行った。また2019年度から行っている海外の大学のセクシュアルマイノリティ学生支援の調査について、2020年度はフィンランドの大学も加えて調査を行った。 日本国内の大学への郵送調査を、相談内容の観点から分析を行った結果,性別違和学生からの相談は大学の設備や大学生活,カミングアウトについてが多く,同性愛とバイセクシュアルの学生からは恋愛や結婚,カミングアウト,進路についての相談が多いことが分かった。また啓発活動実施の有無で相談内容に違いがあるかどうかを分析した結果,啓発活動を実施している大学は実施していない大学よりも,有意に多く相談を受けている内容があることが分かった。具体的には,性別違和学生からはカミングアウトやアウティング,就活,診断・治療についての相談,同性愛の学生からはからかいや陰口,進路の相談がより多くなっている結果で,啓発活動によって行われやすくなっている相談内容が明らかとなった。 海外の大学の調査では,既に実施していたアメリカとカナダに加え,フィンランドの4年制大学のHPを調査し,各大学のセクシュアルマイノリティ支援部署でどのような支援が行われているかを調べた。その結果,毎週のミーティングやイベント開催の実施が主に行われていることが分かった。調査によって得られた内容を基に、海外の大学でセクシュアルマイノリティ学生支援の専門部署を持つ大学を対象に,具体的な支援内容やスタッフについて調査する英語の質問紙を作成したので,2021年度に調査を実施して分析を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
大学生の当事者を対象に大学における支援について調査を行う予定であったが、新型コロナウィルスの影響で大学が通常とは異なる状態になっており、実施されている支援内容や求められる支援内容が通常のものとは異なるため、調査実施を2021年度に延期することにした。海外の大学の調査は、英語での調査用紙の作成とインターネットを使った調査の実施が進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、新型コロナウィルスによる大学の状況を考慮しながら、コロナのため延期していた当事者学生への調査を実施する。また海外の大学の支援状況調査を引き続き行うとともに,これまで得られた知見について学会発表や論文による発表を行う。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、新型コロナウィルスの影響でオンライン授業になった大学が多く、当事者学生を対象とした学生支援の調査を、通常の学生生活が送れる状態まで延期することにしたため、調査費用が未使用となったためである。2021年度は延期した調査を実施し、また国際学会でこれまでの研究結果を発表することに予算を使用する予定である。
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Research Products
(2 results)