2017 Fiscal Year Research-status Report
Development of a series of open-source bio-hardware to inspire the talents with bio-innovative minds
Project/Area Number |
17K18652
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
藏田 耕作 九州大学, 工学研究院, 准教授 (00368870)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | オープンソース / バイオ実験ハードウェア / アクティブラーニング / バイオイノベーションマインド |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,バイオ技術分野のイノベーションを牽引できるような人材を育むために,主に小中高校生を対象とした新しいバイオ技術教育ハードウェア(以下,バイオウェア)を開発し,それがバイオ技術に対する興味や理解の形成に与える効果を調査することを目指している. 平成29年度は,小中学校・高等学校の理科教育で必要とされているバイオウェアに関する調査を行った.まず,この分野を傍観するために日本生物教育学会の講演会に参加した.理科教材の実演・実習が行われるワークショップで資料収集を行った. 次に,福岡県下にある県立高校,広島県下にある私立高校の生物教諭,大学で生物学の基礎教育に携わった経験のある教員に対して,実際の学科課程においてどのようなバイオウェアが教育効果の向上に役立つのか,聞き取り調査を行った.新教育課程になってから遺伝子を中心とした分子生物に関する内容が大幅に増えたこと,教えなければならない内容が増え,図を使った説明を行っているが,なかなかイメージをつかんでもらえないこと,教諭自身が大学で習っていない内容を教えなければならないことなどの問題点が挙げられた. 教科書で扱われている遺伝子増幅(PCR法),DNAマイクロアレイ,電気泳動などの実施には装置が必要であり,実習を通して生徒の理解を深めるには,これらに関連したバイオウェアにニーズがありそうなことが分かった.また,スマートフォンを利用した顕微鏡には既製品があるが像が歪んだり大きさの調整ができなかったりという不満が挙げられた.これらの装置を生徒自身で自作できれば,なおよいという声があった.時間的な制約があるので正規の授業の中では難しいが,各学校で設けている「探究」の時間内であれば実施できそうなことが分かった.さらに,バイオウェアの開発だけでなく,授業展開例や指導案とセットになっていれば利用しやすくなるという声があった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成29年度は,理科教育で必要とされているバイオウェアを明確にするために,近隣の小中学校・高等学校で理科教育に携わる教諭や大学で生物学の基礎教育に携わる教員に聞き取り調査を行う他,調査会社を利用したアンケート調査を実施する予定であった.このアンケート調査はまだ実施できておらず,現在,聞き取り調査の結果を参考にしながら,アンケート項目の設定を行っている段階である.
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Strategy for Future Research Activity |
聞き取り調査とアンケート調査の結果を踏まえて,開発するバイオウェアを決定する.現段階でいくつかの候補が考えられるので,実際に3Dプリンターやレーザーカッターによって作り上げることができ,生徒が1つずつ持つことによって教育効果を高められそうなものを選定する. 決定したバイオウェアを複数のデザインで試作する.オープンソース化を目指しているので,高度な工作の経験や知識がなくても組み立てられるように,設計工学的視点から検討を行う.具体的には,ネジ穴の加工をしなくてもネジ留めできるような構造,使用するネジやピンなどの機械要素の共通化,構成部材の数の最小化などが挙げられる.異なるデザインで設計して組み立ての簡便さに関する検討を行った後,生物教育に携わる高校教諭と大学教員に試作品を提示して作りやすさや有用性についての意見を収集する.この結果をフィードバックさせて,バイオウェアの改良を行う. 平成30年度中におおよその開発を終え,バイオウェアの設計図,加工に必要な電子データ,組立図,必要な部品リストなどを作成する.そして,ウェブサイトを構築し,オープンソース・バイオウェアとしてすべてのデータをインターネット上に公開する.3Dプリンターやレーザーカッターを用いた加工品については,これらの製作データを共有するウェブサイトがすでに存在するので,これらのコミュニティーにバイオウェアの電子データを積極的に投稿し,認知度を高める.
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Causes of Carryover |
平成29年度のうちに,理科教育で必要とされているバイオウェアのニーズに関して調査会社を利用したアンケート調査を実施する予定であった.しかし,当初計画からの遅れにより,このアンケート調査はまだ実施できておらず,現在,聞き取り調査の結果を参考にしながら,アンケート項目の設定を行っている段階である.また,種類の異なる3Dプリンター2台の購入費を計上していたが,毎年のように性能向上した製品が販売される分野であるため,1台については平成29年度中の購入を見送ることにした. 時期は後ろ倒しになったが,研究計画通り,アンケート調査と3Dプリンターの購入を平成30年度に行う予定で研究を遂行している.
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