2018 Fiscal Year Research-status Report
Development of a series of open-source bio-hardware to inspire the talents with bio-innovative minds
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17K18652
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
藏田 耕作 九州大学, 工学研究院, 准教授 (00368870)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | オープンソース / バイオ実験ハードウェア / アクティブラーニング / バイオイノベーションマインド |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,バイオ技術分野のイノベーションを牽引できるような人材を育むために,主に小中高校生を対象とした新しいバイオ技術教育ハードウェア(以下,バイオウェア)を開発し,それがバイオ技術に対する興味や理解の形成に与える効果を調査することを目指している. 平成30年度は,バイオウェアを開発するにあたってそのニーズを調査することを目的とし,高校教諭を対象とした郵送アンケート調査を実施した.全国高等学校リスト(4,985校)から選んだ2,000校の高校に対して,観察や実験の実施状況,教材や教具の利用の現状,求められている教材や教具の種類,技術的問題から製作を諦めている教材アイデアなどについてのアンケートを送付した.その結果,国立10校(1.3%),公立539校(67.8%),私立242校(30.4%),無回答4校(0.5%)の合計795件の回答を得た. 設問ごとに回答を単純集計するだけでなく,自由記述については形態素解析を行って頻出語や特徴語を抽出し,さらにテキストマイニングの手法を用いて頻出する単語同士の関係性を解析した.約80%の高校では観察や実験の実施が数か月に1~2回以下であり,授業時間や準備・片付け時間の不足,他の業務の忙しさ,設備・備品や消耗品の不足(予算不足)などが障害になっていることが明らかになった.バイオウェアの開発には,これらの問題を解決する視点が必要であることが示唆された.また,半数以上の教員が「細胞と分子」「代謝」「遺伝情報の発現」「動物の発生」「動物の反応と行動」の分野で観察あるいは実験を行っていたが,約4割の教諭が「遺伝情報の発現」に関する教材を使ってみたいと望んでいた.それ以外の分野でも平均的におよそ2割の教諭が,ウニやカエルの発生,植物ホルモンの実験,系統樹や模型,進化シミュレーション,動画などの教材を望んでいた. また開発したバイオウェアを掲載するためのウェブサイトを構築し,公開した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成30年度は,聞き取り調査とアンケート調査の結果を踏まえて開発するバイオウェアを決定し,それを複数のデザインで試作する予定であった.郵送アンケートの結果,非常に多くの返信をいただいたので,その整理と解析に予定以上の時間を要した.そのため,バイオウェアの試作に着手できていない.
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Strategy for Future Research Activity |
聞き取り調査とアンケート調査の結果を踏まえて,開発するバイオウェアを決定する.3Dプリンターやレーザーカッターのようなデジタルファブリケーションツールによって簡単に製作できる教材をデザインし,さらにオープンソース教材として広く公開する取り組みを進める予定である. 郵送アンケートを実施したことによって,150人ほどの高校教諭の連絡先を集めることができた.それには今後の協力を申し出て下さった教諭も含まれている.そこで,これらの高校教諭に試作品を提示して作りやすさや有用性についての意見を収集する.この結果をフィードバックさせて,バイオウェアの改良を行う. 開発したバイオウェアについては,その設計図,加工に必要な電子データ,組立図,必要な部品リストなどを作成して,既設のウェブサイトを通してインターネット上に公開する.また,デジタルファブリケーションツールで制作した種々の作品を共有しているコミュニティーにバイオウェアの電子データを積極的に投稿し,認知度を高める.
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Causes of Carryover |
理科教育で必要とされているバイオウェアのニーズに関して調査会社を利用したウェブアンケートを実施する予定であった.しかし,調査対象となる母集団について調査会社と検討を行った結果,独自に高等学校に対して郵送調査を行う方が高い回答率が得られそうなことが分かった.そこで調査方法を変更したために,使用額に差違が生じた.また,バイオウェアの製作が当初の計画よりも後ろ倒しになったために,年度内に物品購入を行うことができなかった. アンケート調査の方法変更によって生じた差額は,今後の協力を申し出て下さった高校教諭からの意見収集のために使う予定である.また,平成31年度に行うバイオウェアの製作に際して,予定通りに物品を購入することを予定している.
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Research Products
(4 results)