2017 Fiscal Year Research-status Report
幼児期における「親密にみえる支配関係」の実態と指導方法についての協働研究
Project/Area Number |
17K18661
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
服部 敬子 京都府立大学, 公共政策学部, 教授 (70324275)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | 幼児期 / 友達関係 / 親密性 / 支配的関係 / 指導方法 |
Outline of Annual Research Achievements |
学童期に顕在化する「いじめ行動への加勢・傍観」は、意に反してもボス的な子どもの言動に同調したり、暗黙に従ったりするなどの「支配関係」がベースにあると考えられる。本研究では、幼児期の「親密に見える支配関係」に着目し、その実態を明らかにするとともに、「支配関係」を崩して「対等性」にもとづく親密な関係を構築する指導方法を保育者と協働して明らかにしていくことを目的とする。 本年度は、幼児期の「仲間はずし」や「親密に見える支配関係」が保育者に認知されているかどうか、それが見られ始める時期、及び、どのような手立てが講じられたのかを明らかにするために、京都府下の民間保育園22か園、大津市内の公立・民間35か園の保育士に「気がかりな友だち関係」に関するアンケート調査を行い(8~9月)、260名から回答を得た(回収率は72.2%)。 2~5歳児クラスの担任の回答を分析したところ、「現クラスで感じられる支配的な関係の数」の各年齢平均値は、順に0.26、0.41、0.41、0.75で、2歳児<3,4歳児<5歳児であった。こうした関係に対して、どの学年でも最も多いのが「様子を見ている」で、「指導方法がわからない」が3歳児クラス、「これから働きかける」割合は、4、5歳児クラスで他の学年より多かった。全回答者のうち、これまでの保育で「仲間はずれ」と「支配的関係」に気づいたのは順に34.4%、50.6%であった。担任期間中にそうした関係がどうなったかについては、「仲間はずれ」の場合、「解消」が49.4%、「持続」が25.9%、「不明」が24.7%であり、「支配的関係」の場合は順に、47.2%、30.4%、22.4%であった。「意図的な働きかけ」や「改善のきっかけ」については74のエピソードが収集された。 指導方法が分からず、関係改善や経過の認識ができないケースが多いことから、今後の課題が明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
11月に保育士による不適切な行為が発覚した園があり、第三者委員会が立ち上げられ、その委員長となって園内職員に対するアンケートとヒアリング調査を行うことになった。再発防止のための報告書作成に多大なエフォートを割くことになり、当初予定していた事例検討と追跡調査を延期せざるを得なくなった。
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Strategy for Future Research Activity |
保育者を対象とした2回めのアンケートを行い、1回めのアンケート調査時の担任クラスから持ち上がった保育者の回答を分析し、3,4歳時クラスから、4,5歳児クラスへの移行にともなう友達関係の変化を明らかにする。 親密に見える「支配関係」に着目した指導が行われずに問題が継続しているケース、及び、指導が行われたものの望ましい変化がみられなかったケースを抽出し、担任保育者への聴き取り調査とカンファレンス、保育場面の観察を開始する。 幼児期における「ボス的な子ども」に対する指導実践(先行研究)の収集と分析を行う。 協力が得られる園において参与観察及び保育者とのカンファレンスを行い、「親密にみえる支配関係」を対等平等な関係へと発展させていく指導実践のもとで、子どもどうしの関係がどのように変化するかを、エピソード記述の分析を通して明らかにする。研究会を通じた指導方法の提案と実践の展開過程における形成的評価を行う。
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Causes of Carryover |
理由の一つとしては、本科研費の内定が決定する前に、一般研究費でアンケート調査の準備を行っていたことがあげられる(切手の購入、発送作業に係る謝金等)。また、「遅滞理由」に記載した事情によって、2017年11月~2018年2月に実施予定であった関東地域での調査と第1回アンケートの追跡調査、及び、保育者との検討会が予定回数実施できなかったため、計上していた調査費用とデータの整理に係る謝金の支払いが行われなかったことによる。次年度に上記の調査を行うとともに、学会発表を2回行う。
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