2019 Fiscal Year Annual Research Report
Collaborative research on the seemingly close but dominant relationships in infancy
Project/Area Number |
17K18661
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
服部 敬子 京都府立大学, 公共政策学部, 教授 (70324275)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | 幼児期 / ボス的な子ども / 集団づくり / 信頼関係 |
Outline of Annual Research Achievements |
学童期に顕在化する「いじめ」は、意に反してもボス的な子どもの言動に同調したり、暗黙に従ったりするなどの「支配関係」がベースにあると考えられる。今年度は、4歳児クラスのA児(思い通りにならないと暴力的になり周りから避けられ始めた男児)と、5歳児クラスのB児(4歳時から「特定の子へのこだわりが強く、自分の思い通りにしようとする」姿が見られ、進級時には、「常に自分が一番でなければ気がすまず、強い命令口調や乱暴な行為で他児を従わせようとする」ことで周りの子どもとの関係が悪化)を対象として、月に2回参与観察と保育者への聴き取りを行い、対象児と他児らとの関係、及び、意図的な指導による変化について検討した。 A児に対しては、浜谷(2019)を参考に、ファンタジーを取り入れて暴力的な「行為」と本人の意図とを区別する対応を保育者が心がけたことで状況が改善した。4歳児クラスで状況が悪化し、担任が交代したB児に対しては、担任との信頼関係の構築と並行して、一昨年・昨年のアンケート調査を参考に、「グループの組み替え」(言いなりにならない子と同グループにする)、「立場の弱い子の遊びを盛りあげて強い子を巻き込む」、劇あそびやオニごっこなどの集団あそびの時間を充分保障し、そうした遊びが盛り上がってきた時期にB児の言動に関する「話し合い」の場を設け、お互いの本音を言い合えたことで関係が大きく変化した。B児のエピソード記録を4期に分けてその内容を分析した結果、「トラブル」は6~8月に有意に多く、翌1~3月に減少、同時に「笑顔・いきいき」エピソードが増加していたことから、量的にも変化が実証された。 園内で実践を共有する機会がなく負担を抱えていた保育者同士が意見交流できる研究会を継続したことで指導上の見通しをもてた、状況が改善したとのコメントが寄せられたことは本研究の大きな意義である。
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