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2017 Fiscal Year Research-status Report

Neruscientific and behavioral genetic study of education brai n.

Research Project

Project/Area Number 17K18669
Research InstitutionKeio University

Principal Investigator

安藤 寿康  慶應義塾大学, 文学部(三田), 教授 (30193105)

Project Period (FY) 2017-06-30 – 2020-03-31
Keywords教育学習 / 個体学習 / 観察学習 / 脳神経活動 / fMRI / 運動学習 / 教育脳 / 心の理論
Outline of Annual Research Achievements

指運動学習を用いて、それを一人で自分のペースで行う「個体学習」、見本を観察して行う「観察学習」、教師が指導する「教育学習」の三学習条件で実施し、脳活動の差異を検討した。実験は、予備実験を実施し課題の妥当性を確認したあと、右利きの大学生27人(男性15人,女性12人、平均年齢20.7歳 標準偏差0.91)のデータを収集した。あわせて学習条件の選好性、ならびに支援的教育学習、啓蒙的教育学習、独学のそれぞれをどれだけ志向するかの調査も実施した。
まず学習全体の前後を比較すると、運動系列学習で優位に賦活する部位(PMA、視覚野など)の活動が高まっていることから、学習が成立していることが確認された。学習条件間を比較すると、個体学習ではさまざまな部位が活動しており、個人個人が自分の仕方で学習している様子がうかがえたのに対し、観察学習や教育学習では特に観察学習では、MedFC, aSMG(left/right), pSMG (left/right), AG (left/right)といった心の理論に関与する部位の活動が高くなっていた。
質問紙調査の結果、対象者は、「独学スコアが、啓蒙スコアより高い」クラスタと「啓蒙スコアが、独学スコアより高い」クラスタに分けることができた。運動学習後に有意に変化した、脳の機能領野間のネットワーク指標と対象者のクラスタが相関した領域は前頭、側頭、角回、被殻、視床及び小脳であった(p < 0.05)。運動学習後に有意差が認められなかった脳の機能領野間のネットワーク指標と対象者のクラスタが相関した領域は、visualネットワーク、salienceネットワーク、左下前頭回を含む言語ネットワークであった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

基本的な実験パラダイムをひとまず確立し、検証に耐える十分なデータ数を得て、条件間の差を対比することができることを確認できた。ここまでは計画通りの進展である。ただし結果はやや混沌としており、当初期待していたほどに十分に解釈可能な結果が得られてはいないように思われる。特に最も肝心な教育学習条件とそれ以外の学習条件の差異を特徴づけることのできる、先行研究とも整合性の認められる神経活動を正しく捕捉できていると結論付けられるだけの結果は得られなかった。とはいえ、心の理論の関与の確認ができただけでなく、個体学習が自由度の高い学習法であることを脳活動から示唆できたことは、予想以上の結果である。このことの確証は、さらに種類の異なる学習課題を行うことによって確認してゆくしかない。
一方、新しい課題については、実験の過程で当初予測していた以上のさまざまな方法を考案することができた。これは教育学習の多くが運動学習や技能学習のような観察に頼る学習というよりも、観察ではわからない知識の習得にあり、それを個体学習(独学)で行う場合と教育による場合を比較すればよいことに気づいたことによる。また「教育」的な学習にMRIで設定し得る条件としてどのようなものがあるかも、実験の過程でより明確になったことは予想を越える成果であり、今後の研究に生かせるものであった。
以上を総括すると、期待したとおりに至らない部分と期待した以上の成果を得られた部分が混ざっており、全体としておおむね順調に進展していると評価できる。

Strategy for Future Research Activity

本年度は、指運動の系列学習という、当初予定していた最も基本的な学習課題を用いた実験パラダイムで、課題実施の妥当性を検討するにとどまったが、本年度考案した新規の課題をMRIで遂行可能な形にまで作り上げ実施する。それらは運動系列学習よりも、より文化的・学業的なコンテンツを用い、それを個体学習と教育学習との間で比較するという、方法的には簡便でありながら、コンテンツに柔軟性を与え、さまざまな教育条件(教材に向かうときの指示や情報の出し方、教師の視線の意識、テストの意識の有無など)を比較可能である。これにより指運動課題よりも柔軟に教育に関わるさまざまな要因を統制可能であるので、そのバリエーションを作りながら、その結果を今年度実施した結果と比較し、より一般性のある知見を導き出す予定である。
この新規実験パラダイムを確立し、最終年度に実施すべき双生児の実験を絞り込む予定である。

Causes of Carryover

年度末に謝金の発生する被験者を募集したにも関わらず、キャンセルが生じ、実験が実施されなかったため、残額が発生した。データは新たに引き続き取り続けるので、そこで新たに謝金が発生する予定である。

  • Research Products

    (1 results)

All 2017

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] 教育脳の探求-教わって学ぶときの脳活動を個体学習と観察学習のときの脳と比較する2017

    • Author(s)
      安藤寿康・染谷芳明
    • Organizer
      第59回日本教育心理学会総会

URL: 

Published: 2018-12-17  

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