2018 Fiscal Year Research-status Report
Neruscientific and behavioral genetic study of education brai n.
Project/Area Number |
17K18669
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
安藤 寿康 慶應義塾大学, 文学部(三田), 教授 (30193105)
|
Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
|
Keywords | 教育学習 / 個体学習 / 観察学習 / 脳機能 / fMRI / 運動学習 / 教育の進化 |
Outline of Annual Research Achievements |
指の運動学習を個体学習、観察学習、そして教育学習で施行している過程の脳活動をfMRIで記録して比較する調査を続け、データをさらに詳細に分析した結果、運動学習後の脳の機能領野間のネットワーク指標が優位に変化することがわかった。変化が認められた領域は前頭、側頭、角回、被殻、視床及び小脳を中心とした運動及び系列学習に関連した領域であった。 また質問紙調査の結果、対象者は「独学スコアが、啓蒙スコアより高い」クラスタと「啓蒙スコアが、独学スコアより高い」クラスタに分けることができた。運動学習後に有意に変化した、脳の機能領野間のネットワーク指標と対象者のクラスタが相関した領域は前頭、側頭、角回、被殻、視床及び小脳であった。運動学習後に有意差が認められなかった脳の機能領野間のネットワーク指標と対象者のクラスタが相関した領域は、visualネットワーク、salienceネットワーク、左下前頭回を含む言語ネットワークであった。これはあくまでも指運動学習という条件下での現象であり、それがどの程度他の学習素材に一般化可能かが次の課題となる。 これらをふまえて、新たな実験課題の検討を進めた。この研究計画はもともと個体学習、観察学習、教育学習の三条件比較を想定していたが、教育脳に直接かつ効率的に迫るには、個体学習(無指示学習、あるいは自発的学習)条件と教育学習(有指示学習、あるいは教育エージェントとのインターラクションあり条件下の学習)を対比させるほうが望ましいという着想を得て、実験課題の検討を行なった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
個体学習、観察学習、教育学習の三条件比較から、個体学習と教育学習の二条件の比較だけでも目的が達せられるのではないかという、計画当初になかった新しいアイデアが得られたため、その検討に時間を費やし、本年度は脳機能調査のデータを十分にとることができなかったという点では予定と異なるが、これはむしろより効率的な方法論の開発に向かっているといえることから、基本的には順調な進展を見せているといえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
運動学習で得られた基本的知見を、それ以外の学習素材、とりわけ概念学習や言語学習といった、より実際の教育に近い素材に適用する。そのための実験室実験で行動レベルの妥当性を検討し、fMRIでの実験を開始して、必要なデータ数を得る。
|
Causes of Carryover |
新しい課題を用いての脳機能調査がまだ試行段階であり、十分なデータ収集に至らず、その分の謝金等の支出がなされなかった。今後順調にデータ収集が進行することで、その分を支出する。
|
Research Products
(1 results)