2017 Fiscal Year Research-status Report
外国にルーツをもつ子どもの健康を決定づける力に関する研究
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17K18675
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Research Institution | Japan Women's College of Physical Education |
Principal Investigator |
沢田 真喜子 日本女子体育大学, 体育学部, 講師 (80363555)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉崎 弘周 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 准教授 (30612741)
藤井 佳世 横浜国立大学, 教育学部, 准教授 (50454153)
勝川 由美 関東学院大学, 看護学部, 准教授 (20438146)
坂梨 薫 関東学院大学, 看護学部, 教授 (60290045)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | 外国人の子ども割合 / 健康格差 / 出生数 / 死産 / 乳児死亡率 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,外国人を母親にもつ子供の「健康の社会的決定要因(SDH)」について明らかにすることである。本年度は,政府統計調査の二次分析及び先行研究の分析により,外国人妊婦・母親に関する推計による研究の準備段階と位置づけ,下記について実施した。 (1)政府統計調査の二次分析 都道府県別・大都市圏別の日本における外国人女性の出産状況,日本における外国人の子どもの状況を明らかにした。①平成25年度における出生数のうち3.1%は外国人を親にもつ子どもであった。②国籍は,タイ,韓国・朝鮮,フィリピン,英国,中国とアジア地域が占めていた。③都道府県別にみた出生数は,東京,愛知,神奈川,大阪,埼玉,静岡の順であった。この出生数は,1980年代後半から1994年まで増加し,1995年からは2万人台半ばの水準で推移していた。また,1990年代後半以降,韓国・朝鮮人女性の出生数が減少したのに対し,中国人女性の出生数が増加し,2008年は中国,フィリピン,韓国・朝鮮,ブラジルの順であった。④外国人女性の死産率や乳幼児死亡率は,日本人女性より高く,その差も過去数十年縮小していないこと,法律上婚姻外にある男女から生まれた子供の割合は日本人女性の8倍,10代出産率も高いことが明らかとなった。このことは,健康格差が縮小せず子供の健康問題へと連鎖する可能性を強く示しているといえる。 (2)先行研究の分析 母子保健及び保育に関する国内外の研究レビューからは,社会的に不利な立場である外国人への支援は,①胎児期から出産までの母子,②出生後から就学期前の親子,③小学校低学年期の親子に対する健康格差の把握とメカニズムの解明がきわめて重要であることが明確となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の実施予定であった,調査対象地域依頼および調査対象地域の政策に関するweb調査については,現在,進めているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,web調査に加え,承諾の得られた調査対象地域の保健師及び養護教諭へのインタビュー調査を予定してる。さらに,外国人女性の出産率の高い地域で開業している小児科医を加えることとした。 また,当初予定していた外国人妊婦及び母親への質問紙調査については,外国人女性の10代出産率や非嫡出子割合の高さ等,妊娠・出産の背景等の複雑な要因を整理した上で,研究を進めていく必要があるため,最終年度に実施するよう変更を図った。現在,小児科医等への調査協力が得られ,調査対象地域を選定する段階にある。 今後,外国人母子を取りまく医療保健・教育分野における支援者への調査結果にもとづき,外国人母親を親にもつ子どもの健康課題の把握に加え,諸外国の取組みを積極的に参照した支援方法の提案を目指す予定である。
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Causes of Carryover |
当該年度は,現地等への調査研究を実施していないため,人件費及び旅費の支出が大幅に下回ったため。次年度は,研究計画にもとづき,調査対象地域を選定し実施していく予定である。
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Research Products
(2 results)