2019 Fiscal Year Research-status Report
過疎地域における子どもの身体活動環境改善に向けた試み
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17K18676
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Research Institution | Niigata University of Rehabilitation |
Principal Investigator |
粟生田 博子 新潟リハビリテーション大学(大学院), 医療学部, 准教授 (50424891)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2021-03-31
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Keywords | 子ども / 身体活動 / 生活環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,過疎地域の子どもの日常活動量などに関連した身体活動環境の現状を調査するとともに,今後の身体活動環境改善を図るための検討課題を抽出し,地域の様々な職種などと連携して子どもの活動環境整備や活動内容の向上を行うための基礎資料を得ることを目的としている.そこで,過疎地域の子どもたちの日常活動状況を調査し,同時に都市部で定期的に運動を実施している子どもたちとの状況と比較し,発達と活動状況との関連について検討を行った.指標には,幼少期の身体活動が将来的な身体機能維持に影響を及ぼすとする先行研究に基づき,骨密度の測定を行った.これまでの調査において,運動を継続的に実施している子どもの値が高い傾向であるものの個体差が大きいこと,また,低学年で徒歩による通学時間が長いと高い値を示す傾向が認められることが挙げられ,2019年度はさらに対象者の経過を追うと共に対象範囲を拡大しての調査を予定していた.しかし,今回の新型コロナウイルス感染症の拡大において,縦断的な変化を検討するために調査時期を前回と同じ時期に設定していたこともあり,調査時期が休校や活動自粛と重なり,新たな調査を行うことが困難となった.そのため,今後の計画としては複数の方法を検討する必要が生じている.まず,これまでの調査計画を可能な範囲で実施できるような準備を行うとともに,例えば調査会場や使用器具,対照群など方法や実施内容を一部変更することも検討する.さらに子どもの身体機能の発達に休校が与える影響も地域によって異なることが予想されるため,その一環として,今回の休講期間における身体活動状況を,従来の状況と比較するためのアンケート調査等を追加することを予定している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究遂行に際し,実施がやや遅れている点について,以下の点が考えられる. 1.調査対象地域は学校統廃合が進行中であり,行政機関に対する調査依頼や働きかけ,調査対照群の絞り込みが不十分で,連携が構築できない現状がある.学校や保護者に向けた発育・発達と子どもの身体活動の現状に対する情報提供を丁寧に行い,引き続き,対象地域の様々な協力を仰ぐことで,継続的,縦断的な調査を実施できるよう検討を重ねる. 2.計測方法の変更について,今回は特に新型コロナウイルス感染症対策が重要となる.計測環境や使用する器機の使用方法など,改めて十分に検討を行う.特に学校や家庭など地域の様々な協力が必要となるため,安全を第一に考慮する.また,調査方法を見直し,身体接触を伴う計測などの変更も必要となる可能性がある.研究代表者の勤務形態なども調査に大きく影響することから,様々な情報収集を重ね,適切な時期に調査が行えるよう,複数の選択肢を準備して調査を継続する.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究を遂行するにあたり,地域との協力が不可欠である.また,調査対象地域の特性をふまえると,子どもの現状や身体機能の変化を適切に捉え,分析,検討することは地域貢献としても重要な役割を果たすと考えられる.一方で,このような調査活動に不慣れな状況も伺える.そのため,今後の推進方策としては以下の方法を検討している. 1.調査地域に対する幅広い情報提供,特に子どもの発育・発達に必要な身体活動の重要性や意義,新しい方法などを事前に提示し,調査に対するハードルを下げる. 2.今回の新型コロナウイルス感染症による活動自粛が子どもの身体機能に与える影響を合わせて調査する.地域の総合型スポーツクラブとの連携を強化し,放課後の子どもの活動や学童保育などの状況を指導員などからも調査できるよう働きかける. 3.本研究の研究期間が終了しても定期的に,継続的に情報共有や提供ができるような関係構築を子ども.保護者,学校,地域を含め,行えるように検討を重ねる. 4.必要に応じて学内業務量との調整をはかり,適宜見直すとともに学会発表などを計画的に実施する.
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Causes of Carryover |
今年度は学内業務等の調整がつかず,研究発表なども予定より遅れていることから,結果の公表を適切に実施するためにも早急に計画,準備を行う.特に,今後は具体的に調査方法を見直すことにより,調査の段階的な実施や必要な器機・備品が大幅に変更となる可能性がある.また,今回の新型コロナウイルス感染症の影響により,人的な経費,学会参加等の結果公表に関わる旅費などの見直しも必要になる.ICTなどを活用することで,継続的かつ広域的な調査が可能となることも検討事項である.調査方法において関係者と協議を重ね,複数の準備を行い,随時対応を変更しながら予算執行を適切に実施する.
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