2017 Fiscal Year Research-status Report
Lesson Study as School Professional Culture: A Comparative Study
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17K18689
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Research Institution | National Institute for Educational Policy Research |
Principal Investigator |
千々布 敏弥 国立教育政策研究所, 研究企画開発部, 総括研究官 (10258329)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久野 弘幸 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 准教授 (30325302)
サルカルアラニ モハメドレザ 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 准教授 (30535696)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | 授業研究 / 組織文化 / ソーシャルキャピタル |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度は研究代表者である千々布がカザフスタンの授業研究実施状況を調査した。カザフスタンでは国の研修機関(センター・オブ・エクセレンス)が主導して大統領立学校を中心に授業研究を実施している。 カザフスタンでは初等教育と中等教育を一体に行う学校が多く、教員数が100名以上と大規模な学校が多い。そのため、日本と同様に学校単位で行う授業研究は難しく、校内に複数のプロフェッショナル・ラーニング・コミュニティー(PLC)を構築し、各コミュニティーの取り組む内容の一つとして授業研究が実施されている。校内のすべてのPLCが授業研究を実施している学校もある。 千々布は2018年3月にカザフスタンの首都アスタナの4校(大統領立学校2校、公立学校1校、私立学校1校)の授業研究を参観した。3校(大統領立学校と公立学校)ではPLCの一部授業研究に取り組んでいる。毎週PLCの会合を開催し、その中で抽出児を中心にした研究授業と授業参観、事後協議会を開催していた。1校(私立学校)は全校体制で授業研究に取り組んでいるが、PLCは授業の進め方に関する協議のみを行い授業公開や事後協議会は実施していなかった。これは、アクションリサーチの手法が影響していると思われる。アスタナにおける授業研究は学校による実施方法の違いが見られるものの、8割を超える学校で授業研究が実施されているとのことだった。 これらの実施体制はセンター・オブ・エクセレンスがガイドブックを作成し、毎週PLC会議を開催するように指導していることが影響している。カザフスタンは中央政府が学校に与える影響が大きく、学校管理職が示す方針に従う文化が形成されていること、その文化の元に教員は従来からアクションリサーチに取り組んできたことなどが要因として考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
カザフスタン調査は予定通り実施したが、予定していたシンガポールと中国の調査は実施できていない。次年度に繰り越して実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に実施できなかったシンガポールと中国の調査を含め、3カ国の授業研究の実施状況とその文化的背景を調査する。メンバー間で各国のプロフェッショナル・カルチャーを測る指標を協議する。プロフェッショナル・カルチャーは国レベルと学校レベルで異なるものがあると想定している。国レベルのプロフェッショナル・カルチャーは、校内研修の実施がどの程度教員に受け入れられているか、校内研修に教員が参加するインセンティブがどのようなものがあるかという視点が第一に挙げられる。その背後に教員の社会的地位や保護者との関係などが存在しているはずである。学校レベルのプロフェッショナル・カルチャーは、カリキュラムの管理体制、全教員が集まり協議する機会の設け方、教員間の同僚性、教員が日常的に勤務する場所(職員室はなく教科ごとに分かれている場合が多い)、力量向上への意欲、子どもの見方(学力に影響するのは本人の努力か授業の質か)などの視点が挙げられる。また、意欲ある教員においては他校の教員や研修機関と密に連絡するなど、ネットワークを広げていることもある。これらの枠組みをメンバー間で協議し、各国の調査対象校でインタビューする。
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Causes of Carryover |
初年度に調査する予定であったシンガポールと中国の調査ができなかった。この2カ国の調査は2年目に実施する予定である。
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