2019 Fiscal Year Annual Research Report
Lesson Study as School Professional Culture: A Comparative Study
Project/Area Number |
17K18689
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Research Institution | National Institute for Educational Policy Research |
Principal Investigator |
千々布 敏弥 国立教育政策研究所, 研究企画開発部教育研究情報推進室, 総括研究官 (10258329)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久野 弘幸 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 准教授 (30325302)
サルカルアラニ モハメドレザ 名古屋大学, アジア共創教育研究機構(教育), 教授 (30535696)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | 授業研究 / 組織文化 / ソーシャルキャピタル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、国によって異なっている授業研究の実施方法に影響しているプロフェッショナル・カルチャー(授業研究文化)を解明することを目的としている。本研究の一環としてカザフスタン、シンガポール、中国における授業研究の実態を調査したが、最終的にカザフスタンに焦点を当てて日本と比較分析することとした。 日本とカザフスタンの教師数千名のデータを収集・分析したところ、日本の場合は集団で指導案検討を行うなど、集団で取り組むことが教師の自己効力感に強く影響するのに対し、カザフスタンでは個人で授業方法を工夫するなど個人レベルの取り組みが教師の自己効力感に強く影響していた。 カザフスタンでは小学校段階から高校段階までまとまった大規模校が多い。教員が研修に取り組むのは教科会などの小集団が主であり、日本のように学校全体で取り組むことはあまりない。また、学校ごとのヒエラルキーが存在しており、上位の学校に異動することが教員のキャリアコースモデルとなっている。そのような学校及び教員制度においてカザフスタンの授業研究文化は少人数グループにおける学び合いを通じて各成員の力量向上を目指すものとなっている。授業研究の成果は数値指標で明示的に示す傾向があり、日本のように曖昧な記述ですませることはない。カザフスタンにおける授業研究は、教員個人の力量向上とキャリアアップの手段と捉えられている。 日本における授業研究は、教員個人の力量向上以上に組織全体で取り組む問題解決過程という意識が強い。子供の学習意欲向上など学校が直面する課題が解決されることが第一に求められるため、その成果を客観的に表現しようとする志向が弱くなる。教員集団で使命や目的が共有される場合は強い組織力を発揮するが、そうでない場合は個人レベルでも集団レベルでも成長志向に欠ける傾向が見られる。 このたびの比較分析を通じ、日本の授業研究の特質と課題が明らかになった。
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