2019 Fiscal Year Annual Research Report
Neural mechanisms for the own-voice perception
Project/Area Number |
17K18693
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
四本 裕子 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (80580927)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | 音声知覚 / 自分の声 / 聴覚皮質 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では刺激として自分の声のみを用い,それらに複数種類の処理を施すことで,自分の声の中での微妙な差の検知に関わる神経的基盤を探ることを目的とした.実験では実験参加者それぞれの声を録音し,その録音声に先行研究で提案された自分の声を再現するフィルタ処理など5種類の処理を施した.そして,それらの処理をした声刺激について自分の声らしさについての評価を行った.そして,その評価が実験室(防音室)内とfMRIによる脳機能計測中という異なる環境間で一貫し得るのかをまず調べた.するとある程度の一貫性は見られたものの完全には一致しなかった.この結果から,脳機能計測中の評価を脳機能解析において参照する必要があることが示唆された.そこで,脳機能解析では,自分の声らしいと評価された声刺激と自分の声らしくないと評価された声刺激を知覚しているときの脳活動のコントラストを調べた.そのような解析により,自分の声の中での微妙な差も検知できる神経的基盤を検証した. 自分の声らしさ評価得点が最も高かった処理条件と最も低かった処理条件についての,2日目の防音室内での評価と3日目の脳機能測定時での一貫性を調べた結果、異なる両環境において,自分の声らしさ評価得点は比較的安定していることがわかった. そして、脳機能計測の結果、左中側頭回,左上側頭回,右上側頭回といった両半球の側頭領域で、自分らしさ評価得点が低い評価を行なった試行中の脳活動が大きくなった. これらの結果より、自分の声らしさの知覚は比較的安定していること、そして、自分の声らしいと感じる音については大脳の聴覚皮質の働きが抑制されることを意味している。自分の声らしいと感じる音には聴覚皮質が抑制されることは、他者と自分の声の差別化を可能にする機能だと考えられる。
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