2019 Fiscal Year Annual Research Report
Experomental psychological study on variety and fluidity of color preference
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17K18695
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
横澤 一彦 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 教授 (20311649)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | 色嗜好 / 実験心理学 / 美感 / 統合的認知 / 物体嗜好 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度に実施した研究では、オブジェクトとしてふさわしい色嗜好には、そのオブジェクトに対する個人の経験や知識が反映される可能性を検討した。個人間でふさわしい色が共有されないオブジェクトに対する色嗜好は個人間で異なり、ふさわしい色が普遍的に共有されるオブジェクトに対する色嗜好の個人差は消失することが予想された。そこで、女性により好まれるオブジェクトとしてかわいいものに注目し、典型色を持たないオブジェクトに対する色嗜好の男女差を調べた。フレアスカートなど、女性により好まれるオブジェクトに対する色嗜好は男性でも女性の単色嗜好に近づく一方、車など、男性により好まれるオブジェクトに対する色嗜好において女性は男性の単色嗜好に近づかなかった。このような非対称性に関しては、今後も検討する必要がある。 研究期間全体として、色嗜好への文化の影響について、基礎心理学研究誌に「文化的な構えが色嗜好に与える影響」と題する学術論文が掲載され、さらにドイツのチュービンゲン大学との共同研究で新たな展開をした。ドイツ人を対象とした実験でも、異文化の想像が個人の色と事物の連想を変化させ、色嗜好を動的に変化させるという生態学的誘発性理論の予測を支持するものであった。さらに、関連研究としてチュービンゲン大学が保有する広色域が呈示可能な量子ドットディスプレイを用いて、最も好ましいと感じられる画像の彩度、および好悪や強弱など主観的印象の変化との関係を調べ、主観的印象は画像彩度が上がっても下がらないことを確認した研究成果が、 Color Research and Application誌に学術論文として掲載された。監修を担当している学術書のシリーズにおいて、「美感―感と知の統合―」(2018,勁草書房)を上梓し、その中で色嗜好研究を中心に紹介する章を執筆した。
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Research Products
(3 results)