2017 Fiscal Year Research-status Report
子どもは拡張現実(AR)技術による「本物らしさ」をどのように認識しているのか?
Project/Area Number |
17K18697
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
白井 述 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (50554367)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊村 知子 新潟国際情報大学, 情報文化学部, 准教授 (00552423)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | 拡張現実(AR)技術 / 子ども / 発達 |
Outline of Annual Research Achievements |
先行研究(Piazza et al., 2011)から、子どもが達成不可能なゲーム課題にひとりきりで取り組む場合に、何らかのズル(ゲーム課題のルールに抵触するような行動)が頻繁に生じること、ただしゲーム開始前に、不可視の監督者が子どもの行動を終始観察していることを伝えると、ズルの発生が抑制される傾向があることが報告されている。本研究計画の目的は、同様のズルの抑制効果が、AR技術によって提示されたキャラクターにも認められるかを実験的に検討することである。 2017年度は5から9歳児を対象に実験を実施した。実験は、ゲーム課題のルール説明、ARキャラクターの存在の示唆(なお、対照群1ではTVモニタによるキャラクターの提示がなされ、対照群2ではいかなるキャラクターの存在も示唆されなかった)、ゲーム課題の実施、といった手順で実施された。実験の結果、ARキャラクターの提示によるズルの抑制効果は認められなかったが、ARキャラクター、あるいはTVモニタ上に提示されたキャラクターを事前に観察した群では、実験室内で単独でゲーム課題を遂行している間に、実験室外の様子を伺うような行動(実験室のドアを開け外を見渡す、等)の増加が認められた。これらの結果は、AR技術や、既存のTVモニタなどによって提示されたキャラクターの存在が、子どもの事後の行動に何らかの影響を及ぼす可能性を示す。 こうした結果を受け、来年度以降も、子どもの行動にAR技術やTVモニタによるキャラクター提示の影響が及ぼす影響を詳細に検討すべく、当初の予定通り実験計画を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画どおり遅滞なくデータの取得ができており、研究の進捗はおおむね順調であると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の研究を引き続き継続するとともに、学会発表などを通して適宜研究成果の公表を行う。また、公表した成果によって得られた学術的フィードバックをもとに、研究計画の拡張を試みる。例えば、拡張現実(AR)技術に加えて、仮想現実(VR)技術による実験状況の操作を試みるなど、ARに代表される、比較的新しい情報提示技術と、子どもの発達との関係を探索的にではあれ検討していく。
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Causes of Carryover |
実験参加児の募集状況が好調であったため、データの収集を優先し、学会発表などの活動を抑制した結果、旅費などに使用予定の経費に余剰分が生じたため次年度使用額が発生した。これらの次年度使用額については、平成30年度に学会発表などを通して研究成果の発信を積極的に行うための経費に充当する。
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