2019 Fiscal Year Research-status Report
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17K18701
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
鶴田 早織 (塚本早織) 愛知学院大学, 教養部, 講師 (80794073)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2021-03-31
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Keywords | 文化 / 規範 / 学習 / 異文化理解 / 異文化適応 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度実施した主な研究は以下の通りである。 1.文化規範の学習プロセスにおける記憶の役割を探る 異文化に適応する際に必要となる規範の学習とその汎用性について、実証実験を行った。新規の文化における規範的な行動を刺激として提示し、行動の具体例から規範概念を記憶し、再認、同規範の別の行動に汎化するプロセスを検証した。その際に、異文化理解の動機に関する個人差が新規の規範を学習する際に与える影響についても明らかにした。異文化受容性の態度が高い人ほど学習した規範概念を汎化する際のエラーが少ないことが明らかになった。 2.異文化適応の体験と許容における言語コミュニケーション能力の役割について 日本人学生と日本に留学中の外国人留学生を対象に、言語コミュニケーションの流暢性認知が異文化他者の許容に与える影響を検討した。日本の文化を窮屈で規範に縛られていると感じる人ほど、異文化他者を許容する際に言語コミュニケーションの流暢性を重視するかどうかを調べた。 同様の検証を、アメリカの大学においても実施した。アメリカ人学生およびアメリカに留学中の外国人留学生を対象に研究を行った。日米において異文化他者を許容する際に言語コミュニケーションを重視する程度が異なる可能性や、その理由として規範の窮屈さ認知が関係している可能性について検証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、研究課題を遂行するうえで、実験および調査を実施し、データを収集することを大きな目標としていた。 1つ目の研究内容について、共同研究者と協力して、実験プログラムの構築を行った。規範に沿った具体的行動の例を挙げるために3度の予備調査を行い、入念に選定することに時間を費やした。実験の実施にあたって、学部生アルバイトを募集し、トレーニングを行った。参加者募集に難航し、データ収集に時間がかかったが、今後の研究推進のために必要な知見を得ることができた。 2つ目の研究内容について、アメリカおよび日本の共同研究者と相談を重ね、日米両国でのデータ収集を終えることができた。留学生データの数は不十分ではあるが、今後の研究の方向性を決めるには十分であると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナウイルスの影響が収束し、実験室実験が可能になれば、研究1を発展させるための研究を行う。実験室実験が難しい場合は、オンラインでの調査に切り替え、文化規範の学習に与える心理的要因の検討を行う。研究1では、異文化受容性の態度が高い人ほど学習した規範概念を汎化する際のエラーが少ないことが明らかになったことから、学習した規範の汎化や実際場面での適用に影響を与える要因を調べる。 研究2に関しては、異文化他者の許容に与える要因に文化差がある可能性をさらに追究する。具体的には、社会規範がより顕在的な日本において、コミュニケーションによる規範の共有が重視される可能性を指摘したい。日米両国において、データ取集を続ける。
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Causes of Carryover |
実験参加者に支払う謝礼金としての予算を計上していたが、限られた学期期間中に十分な数の参加者を集めることができず、次年度使用額が生じた。 海外研究者を招聘し、研究打ち合わせを行うために科研費を使用したが、先方の都合で航空券代が必要なかったりと、予定よりも経費を節約することができた。 また、年度後半においては、コロナウイルスの影響で国内における研究会や打ち合わせ、学会、シンポジウムへの参加が取り消され、国内旅行費についても予定を下回ったため、次年度使用額が生じた原因となった。
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Research Products
(3 results)