2017 Fiscal Year Research-status Report
男子性犯罪受刑者に対する神経生物学的要因を考慮した再犯リスク評価尺度の作成
Project/Area Number |
17K18703
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Research Institution | Hyogo University of Teacher Education |
Principal Investigator |
遊間 義一 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 教授 (70406536)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金澤 雄一郎 国際基督教大学, 教養学部, 教授 (50233854)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | アイオワギャンブル課題 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は,性犯罪受刑者に実施するための二つの神経心理学検査の開発を中心に行った。第一は,前頭葉の機能,特に意思決定に関する機能の検査であるIowa Gambling Task(アイオワギャンブル課題;以下IGTとする)のPC用日本語版の開発である。参考にした英語版はPEBL版と呼ばれる検査であり,ソースプログラムがオープンになっている点が特徴である。このPEBL版の日本語バージョンの作成に当たっては,版権を有するミシガン大学の許可を得た。教示等をバックトランスレーションによって日本語化したうえで,PEBL版をそのまま日本語版に置き換えるのではなく,フォントを調整したりして,実質的に同等性が確保されるように工夫し,そのために独自にプログラムを作成した。現在は,最終段階にあり,微調整を行っており,まもなく完成する予定である。 二つ目の検査は,The Integrated Visual and Auditory Continuous Performance Test(視聴覚統合検査;以下IVAとする)であり,これは衝動統制に関する検査である。これについてもPC用日本語版を,著作権を有する会社とともに開発中であり,まもなく完成する予定である。 先行研究から,IGTとIVAの二つの検査のPC用日本語版の完成により,攻撃行動の頻度やタイプを識別することができることが期待される。今後は,触法知的障害者や性犯罪受刑者に対して,従来から存在する再犯予測ツールとともに,これら神経心理学的検査を実施し,施設内での逸脱行動や施設出所後の問題行動などを応答変数として,精度が高く,再犯抑止のための処遇に有効な再犯予測尺度を開発する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
アイオワギャンブル課題の開発に関して,PEBL版との同等性を確保するために,予想以上の困難があったため。
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Strategy for Future Research Activity |
次の2段階を考えている。 第一段階では,間もなく完成する日本語版アイオワギャンブル課題及び日本語版視聴覚統合検査の英語版との同等性,信頼性及び妥当性を,大学生群と知的触法障害者群に実施して確認する。大学生群では,アメリカの大学生のデータを用いて,両者が同等であるかを検討する。さらに,2回実施することで,再検査法による信頼性を検討する。知的触法障害者群では,日常生活の逸脱行為の頻度,種類等別にアイオワギャンブル課題及び日本語版視聴覚統合検査の結果を比較し,先行研究と同様の結果が得られるかを検討することで,妥当性を確認する。 第二段階では,アイオワギャンブル課題及び日本語版視聴覚統合検査を,受刑者に実施し,その結果と,犯罪歴を比較することによって,性犯罪の予測にどの程度有効かを検討する。
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Causes of Carryover |
主に,次の二つの理由により次年度使用額が生じた。第一の理由は,調査対象者に対して実施する予定であった神経心理学的検査の完成が遅れたため,調査実施が遅れ,結果として,調査データを分析するために購入予定であったPCの購入を次年度以降に変更したためである。第二の理由は,日本に招聘予定であったトロント大学のナスバウム教授との日程調整がつかず,これを延期したためである。いずれも,平成30年度以降に執行する予定である。
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Research Products
(3 results)