2018 Fiscal Year Research-status Report
先天性視覚障害児の歩行指導のための空間認知能力評価システム開発
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17K18704
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Research Institution | Hyogo University of Teacher Education |
Principal Investigator |
丹所 忍 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 講師 (70780865)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | 先天性視覚障害児 / 空間認知 / 空間参照枠 / 空間表現 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の主な研究実績は、新たに生じた課題について追加の調査を行い結果をまとめたことと、関連する研究会ワークショップにおいて本研究で検討しているアセスメント方法に関する報告を行ったことである。 追加の調査では、視覚障害特別支援学校に在籍する先天性視覚障害の児童生徒を対象として、手の届く範囲の空間において、自己と物、物と物、空間における物の位置関係をどのように言語的に表現するか用いる空間参照枠に着目して明らかにすることを目的として実施した。その結果、晴眼児の用いる空間表現は、学年が高いほど「斜め」を用いたり場所を特定する表現を用いたりして、物の位置に関する曖昧性が減少していく傾向がみられた。また、物と物との位置関係や空間における物の位置を説明する場合に、外部参照枠を表現する場合が多くみられた。それに対して、先天性視覚障害児は、低学年の段階から場所を特定する表現を用いる傾向があり、小学部児童と中学部生徒では用いる空間表現に大きな違いはないと考えられた。また、空間参照枠については、言語的には表現されない場合が多かった。 現在、調査結果の分析を終え、学会での発表と学会誌への論文投稿を準備しているところである。また、関連する研究会において、先天性視覚障害児の空間認知に関するアセスメント法を紹介し、参加者で実際に体験をするという機会を持ち、成果を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、新たに生じた課題に対して追加の調査を行って検討を進めつつ、国内学会への発表エントリーを行うことができた。また、指導法に関する研究成果を学会誌に投稿することができた。さらに、研究報告等まとめに向けた研究活動を進めつつある。学会誌への論文掲載が課題としてあるが、次年度重点的に取り組むこととしている。以上により、おおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度、先天性視覚障害児の空間認知に関するアセスメント方法と指導法について総合的な報告書を作成する予定である。そのために、今後も、学会発表、投稿論文等として研究発表を行い、他者からの批評を得たり先行研究の知見を踏まえたりしながら修正を加え、視覚障害教育の場で活用できるものとしてまとめを行う。
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Causes of Carryover |
消耗品等の購入や学会費等で支出する予定であったが、運営費交付金等によってまかなうことができたため、若干の残額があった。次年度、早い段階で支出させていただきたいと考えている。
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Research Products
(1 results)