2019 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17K18704
|
Research Institution | Hyogo University of Teacher Education |
Principal Investigator |
丹所 忍 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 講師 (70780865)
|
Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
|
Keywords | 先天性視覚障害児 / 空間認知 / 評価システム / 歩行指導 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、先天性視覚障害児の室内空間における空間認知について、認知地図、空間イメージ操作、実空間での定位と移動の指導(歩行指導)により検討した。その結果、先天性視覚障害児の場合、室内空間において、多くは「ルート型」の認知地図を形成しており、外部参照枠を活用することで空間知識が促進されるという知見を得た。また、ルート型の者は空間イメージ操作のうち、視点取得が可能な段階にあることが示された。そこで、ルート型の認知地図を形成可能な者を対象とした歩行指導では、視点取得を活用した指導法に効果があることが期待された。一方、視覚的には一望できる規模の室内空間であっても、認知地図を十分形成できていない「前表象型」の段階にある者も存在した。前表象型の者は、外部参照枠により物の位置関係を定位することに困難性があり、さらには、視点取得と心的回転操作共に困難性があることが示された。このような者に対する歩行指導では、自己と物との位置関係が把握できているかどうかも確認しつつ、空間を定位するための基準点を複数設けるなどして、外部参照枠を活用して物と物との位置関係を把握できるよう促す指導に効果があることが期待された。 以上の知見をもとに、本研究では、先天性視覚障害児の空間認知能力評価システムを構成した。空間認知評価システムは、空間認知の発達段階をふまえて、自己中心の左右認知、他者中心の左右認知、空間的視点取得、心的回転の4つの空間課題により構成された。評価システムを活用することで、先天性視覚障害児の空間認知の実態を把握することが可能となる。今後、評価システムが視覚特別支援学校における歩行指導等で活用されることが期待される。
|
Research Products
(5 results)