2017 Fiscal Year Research-status Report
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17K18708
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| Research Institution | Kumamoto University |
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Principal Investigator |
寺本 渉 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(文), 教授 (30509089)
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| Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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| Keywords | 実験系心理学 / 異種感覚統合 / 情動触 / 触覚 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
触覚には接触対象の物理特徴の分析に関わる識別触と接触対象の情動的評価（快・不快）に深く関わる情動触という2つの機能があり，神経基盤も異なっていることが近年明らかになりつつある。従来，異種感覚相互作用研究はこの2つの触覚機能のうち識別触を対象としてきており，情動触を積極的に扱った研究はほとんどない。しかし，識別触に関わる神経繊維は皮膚表面の刺激受容器に連なる神経繊維のわずか1/4程度であることを考えると，従来の射程は触覚系が関わりうる異種感覚相互作用のわずかな範囲のみであったといえる。そこで本研究では，未開拓の分野である情動触も含めた異種感覚相互作用を体系的に検討する。また，最終段階では，心理実験によって得られた知見に基づき，視聴覚情報を使って識別触だけではなく情動触をも喚起／増強する情動喚起型疑似触覚提示法の提案を行うことを目的としている。
本年度は識別触で明らかにされてきた知見を情動触という側面から再考した。特に情動を伴う触覚刺激が他の感覚における識別に与える影響と他の感覚刺激が情動を伴う触覚識別に与える影響について検討することを目標とした。まず，痛み刺激が与えられるように定電流高電圧装置一式を購入し，実験系に組み込んだ。また，快刺激提示を可能にするためエアパフ装置を設計した。予備実験の結果，本実験系において，ラバーハンド錯覚の快刺激による促進（Crucianelli et al., 2013），身体近傍空間における視触覚相互作用の痛み／快刺激による促進（De Paepe et al., 2016; Teramoto et al., 2013）など情動触に関わる異種感覚相互作用に関する知見を再現されうることが示された。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定では特に不快情動に関して本実験まで進める予定であったが，実験系のセットアップと課題選定に時間を要したため，従来知見を確認する予備実験にとどまっている。そのため本年度はやや遅れていると評価した。一方で，快情動に関しては，平成30年度予定であった課題を，予備実験ではあるが前倒して実施することができた。
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| Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は，不快刺激と快刺激の両方について，情動触が他の感覚における識別に与える影響と他の感覚刺激が情動を伴う触覚識別に与える影響について，本実験を実施する。特に，いくつか予備実験を行った結果，ラバーハンド錯覚と身体近傍空間における視触覚相互作用については強い効果が期待できることがわかったため，この2つの現象に焦点を絞り，身体部位（有毛部／無毛部，顔，手，足）を操作しつつ，系統的に調べる。年度の後半には次の課題である他の感覚情報が情動触に与える影響について検討を開始する。注射や歯治療時に感じられる痛さは，目や耳を遮断することによって幾分和らぐことを考えると視覚や聴覚情報が情動触に強く影響を与えていると考えられる。また，こうした他の感覚情報と情動触の関係性を構築しているのは異種感覚間対応学習であると考えられることから，平成31年度には情動触における異種感覚間対応学習解明のための実験を展開する予定である。以上の知見を踏まえ，最終的には提示対象の情動価をも伝える情動喚起型疑似触覚提示法の提案を行う。
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| Causes of Carryover |
（理由）
実験環境構築のための機器類が当初予定よりも安価に入手できた点と，大規模な被験者実験を次年度以降にまわしたことが挙げられる。
（使用計画）
次年度以降は複数の実験を予定しており，実験に合わせて実験環境を修正するための費用が必要である。また，大規模な被験者実験も開始する予定であり，そのための人件費も必要になる。繰越金はそれらの費用として使用する。
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Research Products
(7 results)
