2021 Fiscal Year Research-status Report
PTSDおよびうつ病モデル動物を用いた疾患鑑別のためのMRI画像研究
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17K18711
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
吉井 崇喜 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (50468261)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2023-03-31
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Keywords | PTSD / うつ病 / VBM / MRI / ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
遺伝的素因によるストレスの影響を検証するためのモデル作成にあたり、遺伝的脆弱モデルしてWKYラットを採用し事前に行動面と脳の形態変化を検証した。脆弱動物(WKYラット: n=13) および対照(Wistarラット:n=13)についてMRI撮影・voxel based morphometry(VBM)による解析および行動解析を終了しており腹側海馬から中隔野・小脳・両側扁桃体・下垂体に有意な萎縮クラスターを指摘できている(P<0.05 cluster corrected)。上記検証結果については英文誌投稿中である。 単独飼育を行った上でSingle prolonged stress(以下SPS)を負荷したPTSDモデルについてはストレス負荷単独飼育群(Wistar ラット+SPS: n=12)および遺伝的重症群(WKYラット+SPS: n=12)を作成済みである。Voxel based morphometryを用いたMRI画像の解析ではストレス後に遺伝的重症群では右視覚野・左聴覚野・両側扁桃体・両内側前頭前野・両背外側前頭前野に肥大を示すことが確認されている(P<0.05 cluster corrected)。一方で、単独飼育環境は先行研究からはストレス強度の高い環境と推定されたが、行動解析オープンフィールドテストによる)において想定される変化がなかった。このため2匹での飼育による検証も行い(Wistarラット+SPS, 2匹飼育: n=12, WKYラット+SPS, 2匹飼育:n=10)、こちらではストレス前後の不安指標においては2匹飼育の方が有意な変化を得ることを確認している(P<0.05)。行動実験と画像解析の双方からは重度のストレスに対して単独飼育のような低刺激環境はストレス増強的に働くのではなく、回復促進的である可能性が示唆されると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナ禍でのクラスター対応のため、感染対策上、当該時期は実験の中断を行った。このため、実験の進捗は遅延せざるを得なかった。行動実験上、単独飼育による不安応答の増大を想定していたが、想定されたデータが得られなかった。このため、飼育環境のバリエーションを増やすことが必要となり、実験自体の期間も長期化している。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年6月で行動データの取得及びMRI画像解析は終了見込みであり、得られたデータに応じて検証実験としての免疫組織化学を用いた顕微鏡解析を行う予定である。上記結果をまとめ、年内の英文誌投稿を目指している。
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Causes of Carryover |
コロナ禍でのクラスター対応による実験の遅延があった。加えて、研究段階で想定された行動実験上の有意な差が出なかったため、飼育条件のバリエーションを増やしたことにより、実験数が増加している。今後の計画としては6月まで行動実験を継続しつつMRI用の試料を作成し、MRI撮影・解析については7月ごろの終了を見込んでいる。MRI解析結果に応じて有意であった部位に関する免疫組織化学による解析を半年程度で行い、年度内での英文誌投稿を目指す予定である。
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